ccd155e3.jpg久し振りのサンボーンを、ブルーノートで観た。
AORマニアに人気のリッキー・ピーターソン(kyd)も一緒。このところのサンボーンは、アルバムでは内省を深めているからライヴももっと枯れているのかと思ったが、然にあらず。ファンクな曲とアウトする曲をバランスよく聴かせてくれて、実に素晴らしぃ〜。こんなんだったら、もっと積極的に観に来てりゃ良かった。
実はオレ、ずっーとサンボーンのライヴに封印かけていたんだよねぇ…。
というのは、超ゴッツイ時期のサンボーンを観てしまっているから。
ベースにマーカス・ミラー、ギターにハイラム・ブロック、キーボードは故ドン・グロルニック、ドラムにバディ・ウィリアムス。すなわち84年の名ライヴ『STRAIGHT FROM THE HEART』録音メンバーによる日本公演だ。
場所はクラブではなく、確か渋谷公会堂。マーカスとハイラムが客席を所狭しと走り回って、オーディエンスは大興奮。ノリだけみたら、きっとハード・ロックのライヴみたいだったろうね。そんな風にフロント陣が暴れても、サンボーン自身はそれをステージ上からニヤニヤ眺めてるのが常なのだけれど、この時だけは煽られるように、はにかんだ笑顔を浮かべながらチョッとだけ客席に降りて来た記憶がある。
 しかも自分はこの時、一階中央の横に走る通路に面した席に座っていて、目の前をマーカスやハイラムが行き交うワケ。オマケにちょうど前でステージ上のサンボーンと向かい合ったりするから、目の前50cmくらいのトコロで彼らのケツが踊ってた。マーカスのスラップが至近距離で観られたし、イヤ、ハイラムの尻、デカかったっす。

 でも、この時のサンボーン・バンドのステージがあまりに衝撃的で、その後に観たステージがどうしても物足りなく思えるようになっちゃった。だから、この時に匹敵するメンバーでのライヴじゃないと、もう行かん! そう決めてしまった。ところがサンボーンとマーカス、ハイラムの揃い踏みは、結局この時が最初で最後。かくして生サンボーンは暫くお預けとなっていたのだ。

それを解除したのは、サンボーン自身に音の変化を感じて。彼はずっとファンキー・スタイルでやってきたけれど、最近のアルバムでは新たなる自分の世界に入り、随分違った表情を見せている。だから当然ステージも変質してきて、以前とは違った楽しみ方ができるだろう、そう思って封印を解いたのだ。
かくして実際のステージに接したら、半分正解、半分外れ、といった感じ。でもファンキー系の曲はもう手慣れたモノで、勢いに乗って演り流してる印象はあった。良い悪いじゃなく、これも加齢変化なのだろう。アンコールに入るあたりの臭い芝居も、なかなか気が効いてた。ステージから降りたサンボーンを黒服が捕まえ、客の前で金を積んでステージへ戻すのだけれど、黒服に上積みを要求するサンボーンの仕種がニヒル〜! ちょっとした動きがサマになる人だ。

で、帰ってきてから、出たばかりの新譜を聴いてる。もちろんココからの曲も演ったけれど、ネタバレになるので曲名は秘密。
とにかく、イイ感じで齢を重ねてるね、サンボーンは。今度は来たらすぐに観に行こう!