51e3b07e.jpg「ねぇ〜、ちょっとアンタ、タバコなぁ〜い? ねぇったら、起きてよ、タバコ切らしちゃったんだから。ねぇ、アンタってば!」
身体を激しくゆすられて薄目を開けると、ユキがオレの顔を覗き込んでる。
それを見た彼女の呼び掛けが、レイジーな声から急に明るくブリッ子調に変わった。
「ネェ、タバコ! 買い置きどこにしまってるあるのォ? 無くなっちゃったのぉ〜」
“あのなぁ〜”と呆れたように呟くオレの心の声。でもそれをユキには言えず、
「そこのチェストの引き出し〜」と切り返す。

「わかったぁ、サンキュ」
素肌の上にオレのセーターを被っただけの彼女が、ヒョイとオレの身体を飛び越した。
ムッチリした太腿の隙間から、淡いデルタが一瞬顔を覗かせる。
そして、レースのカーテン越しに入ってくる朝の光を背に、ゆっくりとタバコに火をつけ、フーッと一息つく彼女。
その悪戯っ子の天使のような姿に、思わずボーッと見取れる。
オレの熱い視線に気づいたユキが、はにかんだような笑顔を浮かべながら、
少しだけ口を尖らせて言った。
「なーに、見てんのよ。恥ずかしいじゃな〜い」
すると再び、オレの心の声が言った。
“今更ナニ言ってんだよ、昨日はオレに馬乗りになって、さんざん腰振ってたクセに!”

……とある、平和な休日の朝(これはフィクションです)


思わずそんなセクシー小話(?)を作ってしまうほど、艶かしいポートレイトに包まれた、岡崎友紀の81年作。
いきなりH系のblogに迷い込んだって勘違いした人、ゴメナサイ。でもアマチュアでミニコミ作ってた頃からカナザワをご存知なら、“あっちゃー、とうとうやりやがったな!”ってトコロでしょう。実はこういうの、当時から結構人気があって…(苦笑) まぁ自分のblogですから、少し時間的余裕があって、触発してくるネタさえ揃えばってコトで、いつかはカマすつもりでした(笑)

で、この友紀嬢の『SO MANY FRIENDS』。
カナザワ監修のガイド本『LIGHT MELLOW 和モノ669』に掲載した、この隠れた和製AORの快作が、つい先頃、唐突にCD化されました。
とにかくこの美味しそうなフトモモを露にしたジャケにソソられてしまいますが、中身の音も、バッチリ大人のオンナが醸し出す爽やかな色気に満ち満ちています。

元々彼女は『奥様は18歳』とか『なんたって18歳』(でしたっけ?)なんちゅーアイドル女優で一世を風靡した人でした。たしかソニーの御曹子との結婚などでも騒がれた。でもってこれは、アイドル脱却を目指して再デビューした<Do You Remember Me>に続く作品だったのです。そちらは、あの加藤和彦が仕掛けたフィル・スペクター・オーマジュというか偽装ナイアガラ・サウンドというか、ってなサウンドで、近年キタキマユのカヴァーで知られるようになりました。
が、ライトメロウ派としては圧倒的にコッチなのですよ。オマケに半分はセンチメンタル・シティ・ロマンスがサポートしてるし。

そういえば、この中の2曲は、01年にカナザワが選曲した最初の和モノLight Mellowコンピ“City Breeze from East”にも収録したんでした。その少し前にAB'Sとか濱田金吾がCD化されましたが、あれもホントはボクがコンピと連動させるつもりで企画して、メーカーに持ち込んだもの。確かあの時に向こうに手渡したリストには、このアルバムも入れてあったハズなんです。ところがそれがメーカーの都合で勝手にどんどん話が進み、制作費の関係でライナーもなくなり、結局ボクが何もタッチできない形で再発。このアルバムは、いつの間にかリストから消えてました。
あの時はちょっと悔しい思いしたけど、それが回り回って、こうしてCD化実現。隠れた名作が陽の目を浴びるのは、ライターとしては大変嬉しい。けれど正直なところ、内心ちょっと複雑な心境ではあります。

ちょうど、昔に別れたオンナが突然スターになっちゃった、みたいなね!?