9c69d7fc.jpg結局、21年ぶりとかいう大晦日の雪のために中止になったのだけれど、大晦日〜元旦にかけて睡眠不足のまま運転する可能性があって、眠気覚ましにこんなCDを車に積んでおいた。で、折角だから、と思って久々に聴いてみたら、まぁナンとカッコ良いこと。高校の時に組んでいたバンドでもレパートリーにしていたし、とにかく若かりし日々のモントローズ・フリークぶりが再燃してしまった! 今となってはナニだけど、このバンドがなければ、ヴァン・ヘイレンがあれほど成功するコトもなかった、ボクはマジでそう思っている。
さて、このモントローズ。少々アメリカン・ハード・ロックを知ってる方なら、あのエドガー・ウインター・グループの初代ギタリストだったロニー・モントローズのグループ、というコトはご存知だろう。73年にデビュー、翌74年には<灼熱の大彗星(I Got The Fire)>をヒットさせ、76年までに4枚のアルバムを発表。その後87年に、ロニーのプロジェクトとしてその名が復活したものの、これはすぐに消滅し、彼らの歴史に汚点を残した。だがオリジナル・モントローズ、特に1〜2枚目での彼らは、ホントに腰が抜けるくらいに素晴らしかったのだ。

まずそのラインナップを紹介してみよう。初代シンガーは、のちにヴァン・ヘイレンに加入するサミー・ヘイガー。ずっとバンドを支えたドラマーのデニー・カーマッシは、後にハートやカヴァーデイル・ペイジを渡り歩く。そして3〜4枚目でベースとキーボードを弾いたのは、ナイト・レンジャーで活躍するアラン・フィッツジェラルド。つまりこのグループは、アメリカン・ロック界のツワモノたちが若き日を過ごした“虎の穴”のような存在なのだ。そしてそれを決定的にしたのが、1〜2作目を手掛けたワーナーの大物プロデューサー、テッド・テンプルマンである。

あのヴァン・ヘイレンが鮮烈なデビューを飾った時、ドゥービー・ブラザーズの育ての親であるテンプルマンが送り出した若手ハード・ロック・グループと大きな話題になり、フレッシュな音作りが高く評価された。しかしそれってヴァン・ヘイレン登場以前に、テンプルマンがモントローズでとっくに実験済みなのダ! 言い換えれば、ビフテキのように脂ぎったサウンドを、どうやってサッパリ喰わせるか?である。
 確かにロニーはエディ・ヴァン・ヘイレンのような革新的ギター・テクニシャンではなかった。でも1st収録曲の<Rock The Nation>や<Bad Motor Scooter>、<Space Station #5>などで聴ける爆音のようなギター・サウンドは、また別の意味で斬新だった。ギタリストは一人なのに、ギターは平気で3〜4本鳴っている。しかもその内1本は、フレーズを弾くというより、効果音を提供してるだけだったりする。この頃のロニーのプレイに匹敵するのは、多分、Deep Purple在籍時のトミー・ボーリンくらいだろう。

その美味しいトコロばかりが、このベスト盤にガッチリ濃縮されている。とりわけ頭5曲の疾走感ったら、もう向かうところ敵ナシ状態。ところがコレが思ったように売れなかったから、ロニーは悩んじゃったワケなのよ。77年頃にモントローズを解散させたあとは、ジェフ・ベック風のギター・インスト作を出したり、はたまたガンマというう産業ロック系の新バンドを旗揚げしたり…。そのどれもが一応よくできているのだけれど、どうも最後の詰めが甘いのか、結局ひとつも成功しなかった。ロック好きのジャズ・ドラマー、トニー・ウィリアムスに招かれ、ブライアン・オーガーらとのスペシャル・ユニットで出演した時のライヴ・パフォーマンスなんて、ホント凄かったんだけれどね(@Live Undern The Sky)

イヤイヤ、ロニー・モントローズを見ていると、売れっ子になるには才能と努力だけでは如何ともしがたい、ということを実感させられます。