2005年03月17日

■ WHEN THE NIGHT COMES DOWN / THE SUTHERLAND BROTHERS

b72df74f.jpgスコットランド出身、イアンとギャヴィンのサザーランド兄弟によるデュオの隠れた好作が英Evangelineで世界初CD化された。サザーランド兄弟といえば、日本ではロッド・スチュワートが世界的ヒットにした<Sailing>のオリジネイターとして有名。けれど彼ら自体が取り沙汰されることなど、皆無といってイイかも。


70年初頭にアコースティックな兄弟デュオとしてデビュー、<Sailing>を収録したセカンドのあと、ティム・レンウィック(g)やウィリー・ウィルソン(ds)らがいるクイヴァーと合体し、“サザーランド・ブラザーズ&クイヴァー”として順調に活動を続けた彼ら。しかし70年代も後半になると、まずティムが抜け、ウィリーが抜け、結局このアルバムは元の兄弟2人の名義になった。実際には前作『DOWN TO EARTH』からもうそうした状況になっていて、英盤では共演名義、米盤では兄弟名義のみになっている。そして本作で完全に兄弟名義に。
 実際のバンドの運営状況も、クイヴァー時代にはロンドンの著名セッション・ミュージシャンをサポートに加えていたが、『DOWN TO EARTH』は英米双方で制作され、リッチー・ジィトー(g)やボブ・グロウブ(b)、マイク・ベアード(ds)らL.A.勢が参加した。そし て『WHEN THE NIGHT COMES DOWN』では、完全にL.A.録音。キーボードにはTOTOのスティーヴ・ポーカロの名もある。
 つまり、この時期、兄弟たちは米国西海岸を目指し、クイヴァーの連中はロンドンに踏み止まりたかったのだろう。分裂後のウィリーやティムは、ピンク・フロイド周辺をはじめ、積極的なセッション・ワークを始めている。でもティムの場合はレイジー・レーサーという英米混成バンドを組んだりするのだけれど。

で、このアルバムは、なかりウエストコースト寄りの爽やかとポップさを持つ、ちょい渋めのAOR作品。アメリカナイズされたとはいっても、ちゃんとスコットランドの香りを残しているから、普通のウエストコースト産のバンドと同じにはならない。すなわち、どこか気品があって香り立つのだ。そのコクの深さは、強いて言えば英国と縁深いアメリカ(グループのね)よりも4割増し、同じくフールズ・ゴールドより2割増し、といったところ。<Natural Thing>で聴けるジィトーの豪快なリード・ギターは、ジミ・ヘン調というか、まるでアーニー・アイズレーである。

なお本CDには、ボーナス曲が3曲、アルバム冒頭に入っている。何故にド頭か?というと、前作『DOWN TO EARTH』からのピックアップなワケだ。ウン、これは下手な未発表曲を入れられるよりも、ずっと親切。ただ、よく考えてみると、『DOWN TO EARTH』はCD化しないよっていうレーベルの意思表示も兼ねてたりして。そしてサザーランド・ブラザーズはこれを最後に、いつしかデュオを解消するのであった…。

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