ebd93999.gifかつてボズ・スキャッグスのバンドでギタリストをつとめ、オールマン・ブラザーズ・バンドでも客演。今は亡きデュアン・オールマンを髣髴とさせる豪快なスライド・ギターを聴かせて、周囲を驚嘆させたというレス・デューデック。一番注目されていた頃にリリースした78年作『GHOST TOWN PARADE』、81年作『GYPSY RIDE』が、揃って米Wounded Birdから初CD化です。
レスがボズ・スキャッグスのバンドにいたのは、AORの名盤『SILK DEGREES』が作られる前のことで、ボズ自身がまだプリAOR的な作品を出していた頃。ボズはレスの独立に際して、ソロ・デビュー・アルバムをプロデュース。これは彼のアルバムの中で最もAOR寄りの作りになって、日本盤CDも出た。更に強力なセカンド『SAY NO MORE』は、ソフィスティケイテッド・L.A.スワンプといった趣き。ジェフ・ポーカロとトニー・ウィリアムスという異色コンビのツイン・ドラムにロバート・ポップウェルのファンキー・ベースが絡むインスト<Zorro Rides Again>が出色だ。
 そして一番ゴージャスな作りが、この3枚目。ノッケからカーマイン・アピスとゲイリー・マラバーのツイン・ドラムが炸裂し、バック・ヴォーカルにはジャック・ブルース。曲によってはジェフ&ジム・ケルトナーのツイン・ドラムもある。こんなにツイン・ドラムの曲が多いのは、やはりオールマン譲りのサザン・ロック系譜だからかね? ちょうどデイヴ・メイスン・バンドにいたマイク・フィニガン(先日Tower Of PowerでKydのトラとして来日)やジム・クリューガー(Michael Omartianプロデュースのソロあり)と共にThe D.F.K.Bandを立ち上げる頃で、そのマイクやD.F.K.のツアー・メンバーだったマックス・グローネンサル(=38 Specialのマックス・カール)も参加している。
 一方、次の『GYPSY RIDE』では一気に若手が多くなるが、そこにクリフ・マグネス(名義はクリフ・ニュートン)がいたり、元Raydioのジェリー・ナイトがいたりするのも面白い。

こうしてアルバムの参加者を観てみると、基本的にサザン・ロック〜L.A.スワンプ系の人なのに、結構AOR系のメンバーを使っている。マックスなんてAIRPLAYのアルバムでも歌ってるし。つまりルーツはロックやブルースだけど、それだけ洗練された演奏を好んでいる、ということだろう。ほとんどのアルバムでボトムをジェフ・ポーカロが固めているから、レスの曲はいつもビートが心地よくバウンスしている。それでボクはずっと彼のアルバムを愛聴し続けてきた。スライドもカッコ良いしね。それこそ、オールマンにデレク・トラックスという秘密兵器が参加する前は、ずっとレスを加入させればいいのに、なんてマジに思ってたくらいである。

今回ちょっとLes Dudekでググってみたら、彼のサイトを発見。94年にインディーからブルース色の濃いアルバムを出したのは押さえていたが、ナント02年にも自主制作で『FREESTYLE』という通算6枚目のアルバムを出していた。これが『GYPSY RIDE』に通じる、結構良くできたロック・アルバム! しかもここでも、とっくに亡くなったはずのジェフ・ポーカロが2曲叩いている。おそらく生前に録ってお蔵入りしてたマテリアルにダビングを重ね、完成させたのだと思うが、ホント、レスのジェフへの愛着は相当なモノだ。まさか今頃ジェフの未発表プレイを聴くとは思わなかったから、世のジェフ・ポーカロ・フリークは要チェックですぞ。
 エッ、とっくに押さえてる? あら、それはお見それ致しました…(謝)

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