f1bf7a6f.jpg自分の好きなアーティスト、自分の信頼するアーティストが、普段どんな音楽を愛聴しているか。それが自分の音楽指南になることが間々ある。例えば山下達郎が“サンデー・ソングブック”で何かひと掴みすれば、そのCDが急に売れたりするワケだ。もちろん我らが角松敏生も、そうした影響力を持つミュージシャンの一人。その角松がこのゴールデン・ウィーク、久し振りに全国ネットのFM番組をナヴィゲートする。
その番組とは、5月1日(日)午後0:15〜2:00にNHK-FMでオンエアされる『40代のリスナーに贈る 角松敏生のAOR大百科』。その名の通り、かつて角松に多大な影響を与えたAORにスポットを当て、代表曲を聴きながら、その音楽観や近年の再評価の理由などを角松の視点で語っていくプログラムだ。

角松のFM番組といえば、現在もCross FMやAIR-Gなどでレギュラーがあるけれど、全国ネットというと、結構久し振りかと思う。古いファンだと、思わずFM東京系ネットでやっていた“ライトアップタウン”を思い出す人もいるのでは? 実というとこのNHK特番には、わたくしカナザワも関わっていて、選曲・構成面のサポートをやらせていただいた。ただ残念ながら角松のスケジュールの都合で収録には立ち合えず…。でも当人、なかなかノリノリのようなので、かなり面白い内容になりそうである。

先日の打ち合わせの時にも話が出たのだけれど、彼はAORの将来については結構否定的だし、近年の再評価も懐メロ的だといってあまり好意的ではない。かくいう自分も確かにそういう考えを持っていて、リアルタイム派が当時のAOR観に固執する姿には釈然としないものがある。だからボクは若い世代によるクラブ方面からの再評価を高く買っているのだし、AORに未来が開けるとしたら、ここを突破口にするしかないと思っている。そういう意味では、かつてのAORがそのまま新しい音楽として復活するなんて考えられない。前にも書いたことがあるけれど、今AORと呼ぶに相応しいのは、ノラ・ジョーンズやジャック・ジョンソンあたりだろう。間にマイケル・フランクスやネッド・ドヒニーあたりを置けば、70'sと現在は案外容易に結びつく。まぁ、角松がどう言うかは分からないけど。

さてその番組内では、当時のAORの象徴としてエアプレイ(David Foster & Jay Graydon)にもスポットが当てられる。特に角松はGraydonに強く感化され、その影響はデビュー作に顕著。そして彼を、この『REASON...』のレコーディング・セッションやVocalandのギタリストに起用した。中でもGraydonのギター・ソロ、Steve Gaddのドラムでアーバンなシャッフルを演った<Moonlight Tokyo Bay>は、GraydonプロデュースのAl JarreauやThe Manhattan Transferあたりを狙ったもの。本来は次作『ALL IS VANITY』でも彼を起用するつもりだったらしいが、予算オーバーのため呼ぶことができず、彼風のギターを自分でプレイした経緯がある。果たして番組では、どんなエピソードが飛び出すか!?

オンエアまでにはまだ半月あるけれど、まずは第一報としてお知らせまで…。