e56eed23.jpgいやぁあ〜、これまた嬉しい初CD化。フュージョン・ファンにはお馴染みの、サックスの強面オジサン、アーニー・ワッツの82年作がようやく登場です。タイトル曲はお察しの通り、映画でヒットしたヴァンゲリスの『炎のランナー』のカヴァー。でも一番のキモは、絶頂期のクインシー・ジョーンズが直接プロデュースを手掛け、自分のレーベルQwestからリリースしたことだろう。もうそれだけで狂喜乱舞するヒト、いるんじゃない?
このアーニー・ワッツといえば、最初はリー・リトナーのジェントル・ソウツで名を売った人。元々はゴリゴリのジャズマンだったらしいけど、70年代半ばからL.A.のスタジオ・シーンで大活躍し始め、後にはローリング・ストーンズのツアーでもブロウしている。彼の歌い上げるような豪快なプレイは、とりわけ歌モノのソロで威力を発揮したものだ。もしAOR系のファンだったら、幾つか印象的なサックス・ソロの主を調べてみれば、必ずアーニーにブチあたるはずである。彼自身は決してスター・プレイヤーになれる御仁ではないが、クインシーはおそらく第二のグローヴァーを自分の手で作りたかったのではないか?

マイコー、パティ・オースティン、ジェームス・イングラムなどで当たりを連発していた頃のクインシーだけに、ここに参加した顔ぶれも絢爛豪華。ギターはルカサーにカルロス・リオス、ドラムはジョン・ロビンソン、キーボードはマイケル・オマーティアン、リチャード・ティー、グレッグ・フィリンゲインズ、ドン・グルーシン、そしてヴォーカルにはジェームズとハワード・ヒュウェットら。さらに楽曲はライオネル・リッチーやダニー・ハサウェイ等など。<炎のランナー>はダンス・ヴァージョンとスロウ・ヴァージョンの2テイクが収録されてる。最近は4ビートに専念してるアーニーだから、今となってはこうしたフュージョン作品は貴重かも。ま、このところジェントル・ソウツの再編には手を貸しているようだけどね。

さすがに今聴くと、如何にも80's的なリバーブ・キンキンのディスコ・フュージョンなのだけれど、マイコーの『THRILLER』と一緒で、一旦ドップリと浸ってしまえば、かなり気持ちの良〜い世界。かつてのクインシーにハマった人なら、きっとすぐに掴まりますヨ。