5c7a3910.jpg今年初めの第47回グラミー賞にノミネートされ、Best Contemporary Jazzの最有力候補と目されながら、惜しくもBill Friselに受賞をさらわれた本作。それが日本で発売されてなかったなんて、どう考えても犯罪モノだが。でも先月、ようやく国内盤が出て、間もなくDVDも登場となる。まずはメデタシ。それこそ、コレを聴いてないフュージョン・ファンなんて、モグリだからね!
収録は03年9月のL.A.。いわゆるライヴ・アルバムだが、ワ〜ッというオーディエンスの盛り上がりを期待するものではなく、感覚としてはスタジオ・ライヴに近い。というよりドンの場合は、かつてLee Ritenourと共に取り組んだダイレクト・ディスクの延長かも。その発想の大本は、一緒にやりたいミュージシャン仲間を一度に集めてしまおう!という単純なモノだった。名作なんて、頭でアイディアをコネクり回してヒネリ出すものではなく、ちょっとしたヒラメキなのである。

かくして集まった面子は、兄Dave Grusin、盟友Lee Ritonourを筆頭に、Patti Austin, Phil Perry, Nathan East, Abraham Laboriel, Harvey Mason, Eanie Watts,そして我らがナベサダetc...。それこそL.A.フュージョン・シーンの代表選手が一堂に会している。国内盤では"Don Grusin & L.A. Allstars"という安直(?)なクレジットになっているけれど、思わず納得してしまう絢爛さだ。しかも彼らはお手軽なセッション気分などではなく、まさにテンションびんびん、真剣勝負でプレイしている。それでいて兄弟のピアノ・デュオなどを聴くと、どこかホノボノとした空気が感じられて、ゆったりした気分になる。70年代のフュージョンには、そんな優れたバランス感があった。そんな雰囲気がココでナチュラルに蘇っている点が、ボクには何よりも嬉しい。

そういえば、来週はLee Ritenour率いる再編Gentle ThoughtsのBlue Note Tokyo公演がある。彼らのライヴは昨年マウント・フジで観ているものの、小さなライヴ・スポットでのパフォーマンスとなれば、きっと手に汗を握るような臨場感を味わえるに違いない。そう、あのDVD『OVERTIME』の世界がナマで体感できるのだ。聞く処によると、今回はいろいろと話題が多く、すでに全公演ソールドアウトとか。Leeと杏里がつきあってるコトは、業界内では以前から知られていたけれど、まさか正式に結婚するとは思わなかった。でもステージでは、あんましニヤケたLeeは見たくないぞ!