fcae1c70.jpg昼間は以前書いたライナーの加筆修正。ソニーさんのAOR紙ジャケ・リイシュー用だけど、時事的ネタを交えた原稿は、やはり何年か経つと少々ピントがズレてくるようだ。かといって過去のデータに終始するライナーなんて、いろいろ調べりゃ誰でも書ける。となれば、やはりボクなりの分析や思い入れ、オリジナル発売時の実体験などをバランス良く取り込みたいもの。そう考えたら、ライナーを数時間で書き上げてそのまま入稿なんて、ボクにはできない。もし書き終えても、ひと晩寝かせてから推敲したり、書き洩れはないか?と念入りにチェックする。時間を置くことで頭がニュートラルに戻り、自分の文章を少し客観視できるからだ。まぁ今回は加筆なので、珍しくサクッと終わったけれど。そして夕方は、とあるコンピの打ち合わせを済ませて、それから六本木STB139へ。New Ponta Box、近藤房之助とのジョイントと、まさにポンタ三昧の一夜なのである。
STBに着いて中へ入ると、いきなり担当A&R氏に遭遇。「今夜はすごいラッキーですよ。盛り沢山で3時間は演りますから!」 まぁPonta Boxと房之助さんとの共演の二本立てなので、ある程度は覚悟してたが、何と3時間とは! 「うぅ〜ん、六本木の駐車場は高いのにぃ」と、ちと後悔(普段は電車が多い)。それにポンタさん、そんなに長くて体力持つの?といらんコトまで心配した。でもさすがはプロ。ポンタさんはこの日に備えて酒を控えて摂生したらしく、終始キレのあるドラミングで演奏をリードしていた。最近ちょっと波があるという噂もあるけれど、それは単に飲み過ぎだったんじゃないの?

この日のステージは、なんと3部構成。1〜2部はNew Ponta Boxを率いてのパフォーマンスで、1部はマイルス6連発。マイルスに誘われたことを精神的支柱にしていた時期のあるポンタさんだから、当然気合い入りまくりである。そして2部は、5月に出た新作『NEW PONTA BOX』から。ハービー・ハンコックのカヴァーを中心にして、スティーヴィ−・ワンダーやウェザー・リポート、大村憲司らの曲をずらっと並べた。
ちなみにこの新生Ponta Box、恐るべきことに新メンバー、特にピアノは弱冠21歳の新鋭で、オマケにかなりのイケメンときている。このところ相次いで22〜23歳の女性ホーン奏者がデビューしたり、T-スクエアに若いドラマーが加入したりと、有望な新人が次々に現れているが、ポンタさんトコのピアノ君もまさにそうだ。きっとポンタ氏に揉まれながら、これから大きく成長していくに違いない。

また、ポンタさんもMCで指摘していたけれど、最近の20代の感性が妙に70'sチックになっている点も見逃せない。New Panta Boxでも新人たちにカヴァー曲を選ばせると、それこそヘッドハンターズのような曲を持って来るという。ボクが昨日インタビューした22歳の女性トランペット奏者、市原ひかりチャンも、鈴木茂や佐藤博がプロデュースでデビュー・アルバムを完成させているのだが、何故ベテランたちと組んだの尋ねたら、周囲からの推薦もあったけれど、子供の頃から小坂忠とか聴いてたと言うからビックリ! どうも30〜40歳の世代を跨いで、50代と20代が手を結ぶ傾向があるみたいだ。それは今の最先端のサウンドが、妙にヴィンテージ感を持っていることと無縁ではないだろう。

そんなことを思っているうち、房之助さんが登場して3部に突入。コチラはレイ・チャールズに捧げたジョイント第2作『HERE WE GO AGAIN』にちなんでのライヴで、演目もレイの曲ばかり。New Ponta Boxにギター2人とオルガンが入り、バック・コーラスには大ベテランの金子マリ。房之助さんのソウル溢れるヴォーカルにもヤラレたが、相変らずパンチ力のあるマリさんの歌もしっかり楽しめた。アンコールにはカーティス・メイフィールド<Tripping' Out>。ちょっと達郎さんの<甘く危険な香り>っぽいアレンジが、ボクには結構きました。

で終わってみれば、見事に11時。なんとほぼ3時間半である。長いよぉ! でも角松の20周年リベンジの時、ボクは楽屋で「角松はよぉ、ライヴが長過ぎるんだよぉ!」と知り合いらしき女の子にクダを捲いてたポンタさんを見てるんですけど…(苦笑)