0cef3e56.jpgうーん、食べてしまいたくなるくらい、かわゆいジャケット! …なんてことを書くと、怪しいロリコン野郎と勘違いされるかな。でも大丈夫。だってコレとホルヘ・サンタナのピンクいパンティー・カヴァーを並べたら、ボクは黙ってパンティーに行きますから(爆) ちなみにこのフォトメイカーのアルバム・ジャケは、グラミー賞のジャケット部門にノミネートされたとか。ほら、やっぱりみんな考えるコトは一緒でしょ?
さて今日は、某誌レビューのためにフォトメイカー三昧。彼らが78〜79年に残した3枚のアルバムが、少し前に米Wounded BirdでまとめてCD化。それが輸入盤に帯・解説をつけた国内盤仕様で日本発売されることになったので、それをまとめてボクが紹介するワケだ。

フォトメイカーといえば、元ラスカルズと元ラスベリーズのメンバーが結成した“早過ぎた名パワー・ポップ・バンド”として、知る人ぞ知る存在。ボクも彼らは結構好きで、オリジナル・アルバムとこのベストCDを持っている。だからWounded Bird盤の購入をためらっていたのだけれど、まさか日本で出るとはね。

で、最高なのは、やっぱりこのジャケットで知られるファースト。まさにパワー・ポップ全開で、メロディーもアレンジも、そして溌剌とした演奏もかなりの出来。メンツの豪華さからデビュー時には結構注目されたフォトメイカーだったが、セールスは全然良くなかった。何故だろうね。やっぱりメーカーがプッシュしてくれなかったからか。
アナログ盤の解説を読んだら、彼らには影の仕掛人がいたらしく、ラズベリーズやスリー・ドッグ・ナイトを手掛けた名プロデューサー、ジミー・イエナーがその人とされている。具体的にはイエナーが元ラスカルズのジーン・コーニッシュ(b,vo)とディノ・ダネリ(ds)に新グループ結成を持ち掛け、その2人がレックス・マーチェシー(g,vo)とフランキー・ヴィンチ(kyd,vo)というフロントマンを擁立。そのまま4人でリハーサルに入ったが、どうにも煮詰まってしまい、イエナーに相談したところ、元ラスベリーズのウォーリー・ブライソン(g,vo)を紹介された、という流れだ。特に重要なのは、メンバーそれぞれが自分の役割をキッチリこなし、その拮抗したバランス感覚が彼らの大きな武器になっていたところ。すなわちラズベリーズ組がディレクションを決め、フロント陣が曲を作って歌う実動部隊に該当、そして後から加入したブライソンが色付け役とでもいうか。なかでもブライソンがもたらしたロック・テイストは、バンド・サウンドに多大な影響を与えたようだ。だがこの分担制は音楽的には成功したものの、セールスにはまったく結びつかなかった。ちなみにこのデビュー盤は、エディー・クレイマーのプロデュースでスタート。しかし彼が家の事情で途中降板となり、かねてから親交のあったロン&ハワード・アルバートが後任に就いている。
こうしたゴタゴタを嫌ってか、次のアルバム『VIS-A-VIS(ハイ・コントラスト)』では、ダネリとコーニッシュ自身がプロデュースを担当。自ずと彼らの色が強くなって、ブルー・アイド・ソウルっぽい曲や産業ロック寄りの曲が増え、バラエティーに富んだ作りになった。さらに3枚目『TRANSFER STATION』になると、ディスコを意識したのか、ノリの良いグルーヴィー・ポップ・チューンが一気に増加。ちょっとAORっぽさも漂ってくる。制作はあのナイトフライトを手掛けたバリー・ムラツだ。でも逆に言えば、すでに彼らは自らのアイデンティティを無くしてしまっているわけ。だから先が見えなくなってココで解散、となったのも頷ける。確かにAOR的には3枚目が一番だが、やっぱり彼らの代表作はコレじゃない。

さて、95年にライノが編集したこのベスト盤。実は秘かにファーストを全曲収録したというビックリの内容。残りはセカンドから3曲、サードからはたった1曲、そして未発表1曲である。つまりファーストはそれだけ充実してるってコト。ホントなら『フォトメイカー・ファースト+5』と名づけるべきだよね。ついでに言っちゃえば、ボクの場合はWouded Bird盤は2枚だけ買えば用が済むってコトになる。うーん、慌てて買わないで良かったぁ!