ec267be7.jpgマイケル・フランクスやケニー・ランキンと比較されることが多いけれど、どうも小難しいイメージで敬遠されがちのベン・シドラン。何てったって“Dr.JAZZ”の異名を取るヒトですからね。でも彼のキャリアを追っていくと、決してそうヤヤこしい人ではないのが分かる。例えば、クレモンティーヌとデュエットしちゃったり、ミュージシャンの息子と一緒に子供向けのアルバムを作ってしまうような、ヤワラカ頭の人なのだ。

これは71年に発表されたベンのデビュー・アルバム。いきなり場末のジャズ・バーでヨレた歌を聴かせるが、まず2曲目でぶっ飛ぶ。ダブル・ドラムに唸るオルガンを絡ませた、どファンキー・チューン。え、これがベン・シドラン?って思う人も多いでしょう。元々スティーヴ・ミラー人脈にいた人だから、ボズ(スキャッグス)の参加は納得。ジェシ・エド・デイヴィスがいるのも、まぁ分かる。でも驚くことに、ドラム:チャーリー・ワッツ、ギター:ピーター・フランプトンでブルースをやってたり。ちなみにピーターは当時ハンブル・パイにいた。このあたりはベンがロンドンにいた頃の人脈だが、後年のDr.Jazzのイメージからはちょっと結びつかない。でもそれだけに、マイケル・フランクスやケニー・ランキンにはない振幅の大きさ、ミクスチャーの妙味があって、追求しがいがある。

80年代以降のベンはともかく、70年代の彼はサイコーにヒップだ。