6e0e9339.gif俗にいう『イヴァン・リンス・トリビュート』。クインシー・ジョーンズやデイヴ・グルーシン&リー・リトナーが大々的に紹介して以来、米ジャズ・フュージョン・シーンで引っ張りだこのイヴァン・リンス。彼みたいに現役バリバリの人にトリビュートっていうのも何だが、気持ちはよーく分かります。
仕掛人はニューヨークのキーボード奏者/プロデューサーのジェイソン・マイルス。ソロも何枚が出してるが、ウェザー・リポートやこのイヴァン・リンス、グローヴァー・ワシントンJr.など、一連のトリビュートものの仕掛人/オーガナイザーとして名を上げた。このアルバムでスティングが歌ってた<She Walks The Earth>なんて、グラミー貰っちゃったし。ただし貰ったのは最優秀男性ポップ・ヴォーカルなので、受賞者はスティング。でもこれは言うまでもなく、仕掛人ジェイソンの発想の大胆さに賞をあげるべき。だってイヴァン・リンスとスティングって、ちょっと結びつかないでしょ。でもディスコ・ヒットで知られるDトレインも歌ってるので、実はカナザワ的にはそちらの方が驚いたのだが(苦笑)。

で、何でコレかというと、そーなんです。ジェイソン・マイルス絡みのプロジェクト・アルバム『ブラジリアン・ナイツ』のライナー書きの準備中。とにかくジェイソン作品は、面子の豪華さ、ひと筋縄ではいかない音楽性が魅力で。来月出る『ブラジリアン・ナイツ』も、ホメロ・ルバンボのギターをフィーチャーしつつ、ジェーン・モンハイトやらマイケル・ブレッカーやらガトー・バルビエリやらハービー・マンあたりがゲストに入ってる。広い意味ではスムース・ジャズだけれど、ポール・ブラウンみたいにワン・パターンじゃないのがジェイソンの強み。ゲストの個性的なプレイも売り物だし、ホメロの奥様パメラ・ドリッグスが歌ったり、エリス・レジーナの旦那だったセザ・カルマゴ・マリアーノだってピアノ弾いてる。いろんなコトをやりたいって意味では、ジェイソンはポール・ブラウンの反対を行く人なのだ。

まぁ確かにジェイソン自身は地味な裏方系だけれど、とにかくジャズ・フュージョン好きは要チェックの一人。マーカス・ミラーとの関係が深く、今は亡きルーサー・ヴァンドロスや闘病中のマイケル・ブレッカーとも浅からぬ縁を持つ。だがらそのうち、そこら辺のトリビュートが出るかもね。あ、とりあえず来年はマイルス・デイヴィスらしいけど。ちなみにタイトルは『マイルス・トゥ・マイルス』だっていうから、ウマイッ!