b5e091b8.gifなんかコレ、めっちゃ馴染むんですけど。
サンタナは20年以上前の学生時代に武道館へ観に行ったくらいだから、結構好きなアーティスト。通常サンタナといえば『ABRAXAS』とか『CARAVANSERAI』とか初期作品が定番だと思うが、カナザワ的には『MOONFLOWER』とか大好きだったなぁ…。
そんなサンタナも80年代に入るとジリジリと人気後退。『ZEBOP!』とか『SHANGO』とかで一時盛り返したものの、80年代半ば以降は更に悲惨になってたと思う。明らかに方向性を見失ってた。レーベル移籍を強いられたりもしてたな。ボクもその頃は積極的には聴いてなかった。それが90年代末頃から俄にサンタナへのリスペクトを表明する若手アーティストが増えてきて…。そしてアリスタへ移籍して5年ぶりのアルバム(オリジナルでは7年ぶり)となった『SUPERNATURAL』では、クラプトンからローリン・ヒル、デイヴ・マシューズ、ロブ・トーマスらをゲストに迎えて大ブレイク。グラミーまでかっさらった。おそらくクライヴ・デイヴィスの仕掛けだろうけど、その陰にはヒスパニック系米国人の急増を睨んだマーケット戦略があったんだと思う。

それにしても、あの低迷から一気にグラミー総嘗めでしょ!? やたら豪華な復活作だと思ったけれど、正直、そこまでスゴイことになってるとは思わなかったので、あのグラミー総嘗めはちょっと戸惑った覚えがある。慌てて抜けてたアルバムを買い揃え(中古でね)、ライヴ盤『SACRED FIRE』のデキの良さを発見したりも。でもやっぱりアレは大化けだったよ。

そうしたゲストとのコラボレイションからサンタナ・サウンドを作る手法は、前作『SHAMAN』、そしてこの『ALL THAT I AM』へと踏襲されてる。今回参加したのは、Steven Tyler, Mary J. Blige、Joss Stone、Los Lonely Boys等など、相変わらず超豪華。だけど何故か、前2作よりも妙に親しみやすい。パッと1〜2回聴いて、何かが変わったと感じた。すぐに聴き直せばイイんだけれど、何せ今リフォーム中だから、前のアルバムはトランク・ルームの奥深くに行っちゃってる。なのでもう少し聴き込んでから…と、アップが遅くなった。

その結果、思いついたのは、サンタナがゲストに対して遠慮してない、ということ。基本的な作風に変化はないけど、とにかくここぞ!というところでギターがシャシャリ出てくる。前はゲストを立ててる感じだったけど、今は「頑張んないと喰っちゃうぞぉ〜」とばかりに対決を挑んでいるのだ。だからミシェル・ブランチやスティーヴン・タイラーの歌う曲なんて、楽曲的にはまさにミシェル風、エアロ風なのに、ギター・ソロではしっかりサンタナになる。そこがちょっとFMを聴いてるような感覚。個性が強いサンタナだから、従来だと一本調子になりがちだったけれど、ホントに多彩でアットという間にCDが終わる。Los Lonely Boyとの共演も親子共演みたいで微笑ましい。そういえばWhamのパクリみたいな曲もあったな。

曲によってはロック色が薄く、ラテンそのもの、なんてパターンも。しかもメロディが下世話過ぎるほどにキャッチーで、思わず中森明菜<赤い鳥、逃げた>(Produced by 松岡直也)を思い出したり、オルケスタ・デラ・ルスや熱帯ジャズ楽団かぁ〜!?と思ったり。でもギターが出てくれば、やっぱりサンタナ。すげぇ〜、オッサンである。昔は“泣きのサンタナ”と言われ、ステージで瞑想してたけど、今回のギターはどうもヘラヘラ笑ってるように聞こえませんか?

ところで。このサンタナの米SONY BGM盤を買った方、いらっしゃいますか? そろそろ新聞なんかでも出たらしいけど、貴方のパソコン、たいへんなコトになってるかもよ。先週もチラリと書きましたが、最近の米SONY BGMが出したコピーコントロールCDのコピー防止ソフト"XCP"に、rootkitという一種のスパイウェアが混入していたことが判明。米では回収騒ぎに発展している。この輸入盤は約50タイトル。日本ではすでに約5万枚が流通したと公表されているけれど、ある筋では日本では20万台以上のパソコンが感染した恐れがあると書いている。だとしたら、コレ、本国アメリカに次ぐ大被害である。ちなみにこのrootkitというのは、それ自体は悪玉ではない。しかしウィルスやスパイウェアが侵入してくると、その存在を隠蔽してしまうそうで、セキュリティーが効かなくなる。しかもwinのみならずMACにも感染するとか。メーカーが公表した回収リストにこのサンタナの名はないけれど、米からの輸入盤は最初CCCDだったハズだから、ちょっと怪しい。いずれにせよ、純粋な音楽ファンもこういう情報に敏感になっていないと、自分を守っていけないということですね。CCCDにはわりと否定的だった日本のBMGなんて、とんだとばっちりである。それこそ某T社も他人事ではないぞ。

まったく、こうした小手先の最先端技術に金を費やすくらいなら、もっとアーティストの育成に金かけろ!って思う。一部の会社首脳が決める運営方針に、現場の人間は迷惑してるよ。だいたい既得権を守りに入ったら、その企業は斜陽ってえのが通説なんですがね。