a39b5c02.jpgこのところ、デラックス・エディションやボックス・セットのリリースが多いなぁ…と思っていたら、某誌で特集を組むそうで、原稿依頼が舞い込んだ。事前に「何か書きたいのがあれば…」と尋ねてくれたので、このBlog以外ではなかなかカナザワが書く機会のなさそうなクイーンの『オペラ座の夜』をリクエスト。そうしたらそれが見事に通った。やったぁ!
クイーンを熱心に聴いてるなんて、別に世のブームに乗ったワケじゃない。が、今年はミュージカル『WE WILL ROCK YOU』も観たし、ポール・ロジャース入りの来日公演も堪能したし、何かとクイーンづいた一年だったと思う。その締めくくりには、これは丁度いいチャンスだろう。

さて、クイーンが75年に4枚目のアルバムとして発表した『オペラ座の夜』。<ボヘミアン・ラプソディ>が入ってるためか、一般的に彼らの最高傑作とされている。でも発表直後は、いろいろ賛否が分かれていた記憶があるのだ。<キラー・クイーン>あたりでも詰め込み過ぎと言われたから、そういう輩からすれば「これはロックから逸脱してる」と言われても仕方がない。結成当初は、ブライアンもそうしたフレディの趣味を快く思ってなかったわけだし。

かくいうカナザワも、『オペラ座の夜』がクイーンの最高傑作とは思っていない。確かに<ボヘミアン・ラプソディ>は素晴らしいし、<マイ・ベスト・フレンド>なんて微笑ましいポップ・チューンもヒットした。でもその一方で堕曲があるし、お遊びが過ぎるんじゃない?なんて曲もある。でもそうした点を含め、もっともクイーンらしいアルバム、フレディの貴族趣味や英国気風が一番濃く出たアルバム、というのは間違いない。そうした意味では、これが最高傑作と言われても当然だろう。

で、この『オペラ座の夜』30周年記念盤。もうお手にした人もいるだろうけど、まず音が最高。ブライアンのギター・オーケストレーション、ロック・バンドとは思えぬ楽器使いと効果的な鳴らし方、重層的でオペラチックなハーモニー・ワーク、そんなクイーン・サウンドの特徴が、これ以上ないっ!というくらいに強調されたリマスタリングになっている。音がパノラミックに鳴っているから、すごい臨場感があるのだ。それこそ、このアルバムほどサラウンドで聴いて面白いアルバムもないんじゃないか。前回のリマスターも音が良くなってたけど、果たしてココまで良くなってたかどうか…。このアルバムにとって、今回が究極のリマスターといってイイだろう。

でもコレだけではない。初回限定盤についてるDVDが、また見モノなのだ。なにせアルバム全曲、順番通りの映像が展開していくのだから驚く。75年といえばまだビデオ・クリップなんて珍しい時代だから、ここに収められたのも、シングルになった<マイ・ベスト・フレンド>と<ボヘミアン・ラプソディ>のみ。だけど、あれほど見慣れた<ボヘミアン〜>なのに、これほど綺麗なのは初めて見た。つまり丹念にノイズが消され、オリジナル・マスターに極めて近い画質が甦っているのが感動的だ。そしてそれ以外の曲は、ライヴ映像を継ぎ接ぎしたり、グラビアやスナップ写真、あるいは昔の映画などを貼り合わせて構成。これがまた懐かしかったり、面白かったりで、まったく飽きさせない。<39>あたりでは、直近と当時のツアー映像を巧みに組み合わせてあるのだが、ブライアンが老けたり若返ったりするのを除けば、ライヴ・フィルムとしての違和感はほとんどないのだ。クリップ写真は、当時のミュージック・ライフ誌のものが多く使われ、そのうち水上はるこさんや東郷かおる子さんが出てくるんじゃないか!と思ったほど。でも逆に言えば、来日だのレコーディング潜入だのと、その頃のクイーンを熱心に追っかけてたのは、日本のジャーナリズム(と女の子)だけだったということになる。彼らが世界的に評価されるようになったのも、このアルバムと<ボヘミアン・ラプソディ>のヒットがキッカケだった。

ちなみにカナザワにとってのクイーンは、『II』に始まり『THE GAME』あたりで終わっちゃう。それでも、ボクのロックの聴き始めと『II]出して注目された時期が一緒だから、やっぱり自分と共に育ったバンドという意識がどこかにある。中学の頃なんか、ちょっとイイな!と思ってる女の子が、ロジャーの切り抜きを下敷きに入れてたりしたモンです(苦笑) DVD観ると、ロジャーってホント、カッコ良かったなぁ…と、今も思うぞ(過去系なのにはツッコまぬように)