c8870e08.jpg極めて良質な音を何処からともなくサルベージしてくるレーベル、celesteが、またまたグッジョブ!! ほとんど正体不明のデュオだけれど、試聴機に入ってるのを聴かずして、購入決定してしまった。それは簡単に知り得たいくつかの情報だけで、いい音の香りが漂って来たから。ちょうど春に刊行されるジャケ買い本にコラムを寄稿したんだが、これも差し詰め"ジャケ買い+α”といえる。では今回購入に至った条件とは…?

まずモノクロのジャケが最高。オシャレなラウンジ風のシチュエーション、イイ女、アコギ、ワイングラス…。小物の並びがイイ音を予感させる。それに"Rhythm Cafe"なんて、何かありそな気にさせる名前も素晴らしい。今だとありがちだけど、何せ84年モノですからね。さらにシアトル出身で、かのDave Raynorが絡んでるとなりゃあ、アンタ、それだけでも買い!ですがな。

80年代初頭のシアトルといえば、Frankie BleuやDon Brown(ex-Brownsmith), 無名時代のBoy Meets Girlらが活躍した街。純で適度に洗練された、決してビジネスに毒されてないピュアAORの産地だったのだ。そんな中でDave Raynorは密かに名盤を残したのだが、そこらあたりは是非 拙著ガイド本『AOR Light Mellow』をご参照あれ。そうした経緯で自分も少しRaynorさんの動向を追ったりしたが、とにかく情報が少なく、大したモノは出てこなかった。だけどしっかりシアトルでこんな仕事をしてたんですねぇ…。
さらにCDのキャッチを読むと、「ネオアコのエコー感とメランコリア、ほのかなAORの香り」とある。あぁ、こりゃーカナザワが完全にヤラレてしまうパターンじゃないっすか。しかも出してるのがcelesteとなりゃあ、耳の確かさは間違いナシだ。

で、買って帰って原稿書きの合間に苦めのコーヒーを飲みながら聴いてみたら…、やっぱりヤラレちゃいました。まさにキャッチに偽りナシ。Alzoあたりに繋がるソフト・ロック的アコースティック感を持ちながら、楽曲センスはもっとAOR寄り。曲によってはフォーキーだったり、スコンと抜けたアメリカンな感じもある。でも何か、ジャケのように「チョっとよそ行き」のフィーリングが素敵だなぁ…。ちなみにこの音でこのジャケなら、絶対にモノクロ。もしカラーにするなら、柔らかな朝日が差し込む早朝のカフェテラスってイメージだね。しかも観葉植物に囲まれて…。いやいや、Rhythm Cafe、スバラシイです。

しっかしcelesteのM女史は、こんなの何処から見つけてくるんだ? ヨーロピアン・ジャズばかりやってないで、もっとこんなの発掘してくれぃ!(←他力本願!?)