4eb5421c.jpg世の中はトリノ・オリンピックとヴァレンタイン・デーで盛り上がってるようだが、カナザワは家に籠って引き続き原稿書き。これじゃあ貰えるモノも貰えやしない。結局収穫は相方が用意してくれた一個だけ。クソー、営業やってた時は、軽く10個は貰えたのになぁ…。ま、ダイエットにはちょうどイイか。ってなワケで、今日は昨日に引き続きVernon Burchのライナーとレビュー系の原稿を。新しいネタは、白人ながら見事なブラコン・サウンドを聴かせるティーン・シンガー、Stacy Lattisawちゃん。最近彼女の初期作品3枚がまとめてリイシュ−されたのだ。

彼女はデビュー作こそVan McCoyにプロデュースを委ねたが、セカンド以降数作はずっとNarada Michael Waldenが指揮権を握っている。しかもそれはNaradaがWhitney HoustonやAretha Franklinを手掛けて売れっ子になる前のハナシ。つまり彼が現役アーティストとしてバリバリやっていた頃で、サウンド・クリエイターとしては最も勢いがあり、プロデューサーとしてはメキメキ売り出し中の時期だった。Stacyは12歳でデビューしたアイドルだけど、歌は結構シッカリさん。あのJohnny Gillは幼なじみで、JohnnyはStacyの推薦でデビューできたというエピソードを持つ。だからNaradaとStacyの2人って、良い関係を保ちながら共に成長していった感があるのだ。

そうした意味では、Stacyが少女から女性に変身していく様をヴィヴィッドに捕らえた通算5作目『SIXTEEN』あたりが彼女の代表作といえるかも知れない。でも当時角松に教えられて本格的にNarada作品を追い始めたカナザワにとって、初めてStacyとの出会いとなった82年作『SNEAKIN' OUT』の衝撃はデカかった。それが今回、ようやく米Collectablesで再CD化。ちなみに3枚目『WITH YOU』も出たが、どれも激レアだったらしいので、ほとんど初お目見えみたいなモンである。

さて一番の聴き処は、やっぱりStacyちゃんではなく(苦笑)、Narada一派のサウンド・プロダクション。彼のバンドがそのままバックを勤めているのだが、当時のNaradaの元には、のちにColumbiaのA&Rとして活躍するRandy Jackson (b)、元Novaのイタリア人ギタリストCorrado Rusticci、御存知セッション時代のSheila E (perc)、後年YellowjacketsやTower of Powerで活躍し、今はDoobie BrothersのサポートをしているMarc Russo (sax) など、錚々たる顔ぶれがいた。しかも誰かが突出することなく、一弾となって音を構築するから、超強力なアンサンブルが生まれたのである。もしNaradaのソロ作を知っているなら、『THE DANCE OF LIFE』『VICTORY』『CONFIDENCE』あたりの一番美味しい頃の音を連想して欲しい。あついはAngela Bofillとか。況してやNaradaの妹、Wandaのソロが好き!なんて方なら、よもや見逃しちゃいないだろう。

楽曲的にも、なかなか興味をソソられるトラックがいくつかある。例えば、三連バラードの<Hey There Lonely Boy>は、ルビー&ザ・ロマンティックスやエディー・ホルマン、ロバート・ジョン、それに山下達郎で知られるあのナンバーの女性版。歌詞が"Lonely Girl"ではなく"Lonely Boy"になっている。また<Attack Of The Name Game>は、あのTomTom Clubのヒット曲をパクった早かりしラップ・チューンだ。とびきり強力なトラックはないものの、Narada周辺で曲を揃えた割には、なかなか好曲が揃っている。やっぱりNaradaワークスは、大物になる前がベスト!! そういうオレってヒネてますか?

そういえばStacyちゃんってまだ40歳くらいのハズだけど、最近音沙汰ないっすね。