6a93a2b0.jpg2月は日数が短くて月刊誌関係者泣かせの月なのに、大事な3月最初の週末は昨日のblogのような状況で、頭も身体も半日使いモノにならず。でも実は、楽しいながらも結構手間のかかる仕事が入っていて。それは某誌の【ゲスト・プレイヤー名演ソロ特集】。まぁ、特集本編とか大物プレイヤーの名演コラムなどは他の著者の方が書くのだけれど、カナザワは最後の『名演ソロ・リスト』の作成を任された。

でも、任されたと言えば聞こえはいいけど、実は本編に出てこなかった名演、洩れてしまった名演を掻き集めて、特集として最後の帳尻を合わせるという、ドタバタ仕事の側面も。実は昨日も朝帰りして少し寝たあと、数時間は音盤収納部屋に籠りっきりで、編集部から届いたピックアップ済みリストと睨めっこしながら、それっぽい曲/アルバムを引っこ抜いていた。

とりあえず選んだのは、Rollind Stones『TATOO YOU』のSonny Rollins、Bryan Ferry『BOYS AND GIRLS』のDavid Gilmore、Nick DeCaroやBobby Womack作品でのDavid T. Walker等など。カナザワ的には「こりゃあ本編ネタにすべきでしょ?」と思うのもあったが、やっぱ皆さんそれぞれに主張があるんだろうね。ま、BreckerとかSanborn, Carlton, LukatherにGraydonあたりの有名曲は、当然挙がってる。けれどそんな中で、今でこそ名手として名が通っているが、当時はまだほとんど無名の存在のプレイヤーばかりを起用していた大傑作があった。それが、我らがGino Vannelliの大ヒット作 『BROTHER TO BROTHER』である。

例えばタイトル曲で壮絶ベース・ソロを披露してるのは、現YellowjacketsのJimmy Haslip。全編エモーショナルなギターを弾きまくってるのは、ズブの新人だったCarlos Rios。そして名バラードでGino最大のヒット曲(全米4位)<I Just Wanna Stop>のサックス・ソロは、その頃ジャズ/フュージョン界からポップス系セッション・ワークへ踏み出して間もないErnie Wattsだ。さらにあまりに無名なんで書かなかったが、ドラムのMark Craneyもめっちゃテクニシャンで、次作に参加して脚光を浴びたVinne Colaiutaに勝るとも劣らない。このドラマー、このあとはJethro Tullへ行くんだけど、本当ならもっと活躍しても良さそうな人だ。

AORファンとかポップス・ファンにも知られる本作だけど、このアルバムの凄さを一番良く認識してるのは、多分プロ/アマのミュージシャンたちだろう。かのKYLYNが<The River Must Flow>を取り上げていたし、タイトル曲にインスパイアされた曲を演ってるのはPrismや角松など。ホントにGinoに感化されたプロはゴマンといるのだ。