2006年05月01日

■ TIL THE END OF FOREVER / MICHAEL BOLTON

7ebef186.jpgゴールデン・ウィーク中のライナー執筆、まず最初はMichael BoltonのFrank Sinatra トリビュート『BOLTON SWINGS SINATRA』。とかく濃すぎるイメージのあるヒトだけど、曲が曲だけに結構チカラが抜けていて、いつになく聴きやすい。Michael Boltonが歌う<イパネマの娘>なんて、普段想像つかんでしょ。"SING"と"SWING"を掛けているのも粋であるし。



それに相手がSinatraの曲だけに、これまでのカヴァー集とはちと違う。やっぱり取り上げるだけの精神的理由がないと、この人のトリビュートは作れない。そこにストーリーを感じるんだな。ヒト様の心に残るモノを作るには、何らかのストーリーが必要。つまりヒトを感動させる、心を動かすには、作り手も心砕き、魂を吹き込んでいなければ、ってコトだと思う。単に「売れるモノ」を作るのとは意味が違うのだ。

自分のような仕事でも、それは同じ。例えばライナー1本書くにしても、数時間でパパッと書き上げてサッサと入稿してしまう人もいれば、何日も掛けてようやく脱稿する人もいる。もちろん本業の人と兼業の人じゃ時間の使い方も違うだろう。でもやっぱりそこに思いの深さが表れる気がするのだ。知識の有無、文章力の有る無しだけじゃない、そういう確信がある。
カナザワも確かに「書き出せば早いよね」と言われる。でもライナーみたいに、あとあとまで残るものは、敢えてひと晩費やして書くようにしている。集中力が足りない? ウーン、確かにそれもありかな(苦笑) でも得意分野の解説なら、数時間で書き上げてしまうことだってある。けれどそうした場合でも、すぐには提出しない。最低でもひと晩寝かせ、頭をニュートラルに戻してから、再度読み直して推敲するのだ。そうすることによって自分の原稿を多少なりとも客観視できるし、書き忘れや勘違いを減らすことができる。自分の思いを、ちゃんと読み物に昇華できているかを確認できる。「思い入れ」と「思い込み」は違うのだ。完成度を高めるというのは、そういうことだと思う。

ところでMichael Bolton。一般的にAORのアーティスト、と言われるけれど、コアなAORファンからすれば、全然AORじゃない。まぁ、ブルー・アイド・ソウルであるのは確かだし、アダルト・コンテンポラリーでもあるが、あまりに濃ゆくてオシャレ感は少ない。それをAORと言われても…という気持ちはナイと言えば嘘になる。Boz Scaggあたりを杉良太郎とか五木ひろしになぞらえる方もいるけれど、そりゃ〜やっぱりBoltonでしょ!と。ただ個人的には細かいジャンル分けはどうでもいいと思っていて、その人なりのAOR感で判断すれば良い。コイツはAORじゃない!なんて下衆な論議は、2チャンネルでどうぞ。
ちなみにBolton、アチラじゃ30代以上の女性たちのセックス・シンボルだそうで、日本じゃ予想もつかないほどの大人気とか。じゃあ差し詰め、ヨン様みたいな立ち位置か? タイプはかなり違うけど。

実際アチラでは、ジャズ・スタンダード集 『VINTAGE』と今度出るSinatraトリビュートの間に、今日の表題アルバム 『TIL THE END OF FOREVER』がリリースされている。これは新曲7曲とライヴ11曲から成る変則的アルバム。おそらくジャズっぽい企画アルバムが続くため、ファン・サービス的に急遽作ったものではないか。Jim Brickmanの最新作で客演した<Hear Me>というヒーリング・スタイルのバラードも収録されている。でもこの新録分が、なかなかイイんだ。程よく少し力が抜けていて。やっぱりこの人、思い込みが歌の濃さに直結するから。でもこういうのが日本で出ないというのが、日本での評価の低さを象徴している。セックス・シンボルなら、どうしたって身近な方がリアリティあるからねぇ(苦笑)

で、後半のライヴはBolton節全開。音としてはトゥ・マッチ感アリアリだけど、これはこれで面白かった。ちょっとDVDで観たいかも。ちなみにBoltonのステージは、投げ込まれたブラジャーとかパンティーで山ができるとか。あぁ、なんて羨ましい! だってカナザワ、ぬか味噌臭くなってなけりゃ、精神年齢次第で50代もOKですから!(爆)

lightmellow at 23:50 │Comments(2)TrackBack(0)clip!AOR Light Mellow  | 棚からpick!

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この記事へのコメント

1. Posted by kaz    2006年05月13日 02:01
金澤さん、はじめまして。今回、金澤さんのレビューを拝見させていただき、とても心を打たれました。私自身、AOR系を主にした作品を手掛けるミュージシャンをやっていまして、その傍ら、二十年前に病死した恋人との四ヶ月間を小説にする為、日々パソコンと向き合っているのですが、なにぶん初めての経験で悩みは尽きませんでした。しかし、金澤さんの書かれたレビューを目にして不思議とパワーが湧いて来たのです。人を感動させる事とは?という本質的な意味を今一度再確認させていただきました。こういった数少ない本物の音楽ライターが、今のこの退屈な音楽業界を何とか支えているんだなと思います。M・ボルトンとは全く関係のないコメントで申し訳ありません。ただ、感動したという事、それについて、お礼が言いたかったという事をご理解下さい。
2. Posted by kanazawa    2006年05月13日 13:18
kazさん、書き込みありがとうございます。ボクの方こそ、そんな風に読み解いていただけるとは! こちらこそ感謝したいくらいです。
お互い、もっともっと精進しませう!

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