adefa379.jpgBIlly Prestonが亡くなった。去年の11月に腎移植に失敗し、ずっと昏睡状態だったとか。ここ10年くらいはトラブル続きで音楽活動もままならなったようだけど、やっぱり過去の偉業があるからね。いろいろと思うトコロ、あります…。


まず誰もが目に焼き付いているのが、Beatlesと共演したひとコマ、映画『LET IT BE』でのBillyだろう。バンド内部の人間関係はズタズタなのに、外からBillyが加わることで、何とかまとまった演奏ができたという。みんな外ヅラがイイわけね(苦笑) でも彼の<Get Back>とか<Don't Let Me Down>のエレピは、すっごい効果的だったな。

でも、それに匹敵するくらい印象的だったのが、Rolling Stonesとの共演で。ツアーやレコーディングは結構長い間一緒にやっていたけれど、よく覚えてるのはライヴ盤『LOVE YOU LOVE』が録られた頃のツアーだったか。NHKのヤング・ミュージック・ショーで、この時のパリ公演だかを放映していて。サポートのキーボード奏者で参加してたBillyが、途中でやおらステージ中央に出てきて、Mickに導かれるように自分の曲を演っちゃうワケですよ。ちょうど『BLACK & BLUE』で大貢献した直後だから、Stonesの面々も最大級の敬意を払ってたんだろうね。日本での知名度以上に、アチラは評価が高いようです。そういえば、Billyといえばアフロ!っていうイメージが強いけど、あの時は坊主頭で驚いたな。聞くトコロによると、あの<Miss You>のモチーフもBillyが出したとか。

で、今日ご紹介の『THE KIDS & ME』は、A&Mでの5枚目のソロ(74年)。全米No.1になった<Nothing From Nothing>の収録先で、Joe Cockerで有名な<You Are So Beautiful>の本人ヴァージョンも入っている。ちなみにココでのギター&ベースはRufusに入る前のTony MaidenとBobby Watsonだったり、Joe walshが豪快なスライドをキメていたり。意外と多いBillyのソロ作の中でも、一番馴染みやすい一枚ではないかな?

60年代初頭にソウル・ジャズ系オルガン奏者としてデビュー(15歳だったとか!)し、Leon Russellの後釜として人気TV番組のハコバンに参加。そこをRay Charlesに気に入られて、彼のバンドに加入し、3年ほどでGeorge Harrisonと親しくなった。Beatlesのサポートと同時に、彼らのApple専属としてアルバム2枚。ココからはロック・フィールドで活躍することになるが、ルーツはゴスペルで、そちら系のアルバムも何枚か出している。Motownから出したSyreetaとのデュエット盤も、なかなか良かったな。要するに、早くから実にフレキシブルな感性を持った人だったのだ。

これで、Apple屋上のRooftop Sessionでプレイしていた5人のうち、3人が亡くなってしまったわけである……合掌。