819b74a0.jpgちょっち間を明けてしまった。でもバカンスとかじゃありませんゼ。原稿書きに選曲、CSラジオの収録と、ひたすら仕事でございます。唯一、一晩だけ軽呑みに行ったけど、深夜帰宅〜仮眠〜また書き仕事だし…(泣) でも忙しいのは喜ぶべきこと。お天道様に感謝しなくちゃ。まぁ、このトシになると、睡眠時間3〜4時間は長く続くとキツイが…。

で、今やってるのが、御大ポンタ師匠のお仕事。来月発売になるポンタさんのコンピレーション『うたポン』の解説だ。この『うたポン』は、氏がこれまでにレコーディングに参加した歌モノを集めたもの。それこそピンク・レディーから井上陽水、泉谷しげる、吉田美奈子から椎名林檎まで、氏のキャパシティーの広さと歌心あるドラミングを堪能できる。たとえばピンク・レディーなんて、誰もポンタさんが叩いてるなんて知らなかったと思うけど(クレジットなし)、それを意識して聴くと、まさにポンタさん以外の何者でもないようなプレイなんだな。

ま、その取材内容をまとめながら、リリースされたばかりの新作『RHYTHM DESIGNER』を聴いた。これはPONTA BOXのように最新型のジャズを聴かせるでも、25周年・30周年のように歌のゲストを迎えて豪華にやったのでもなく、ポンタさんの感性の迸りを自由にパレットへブチまけたような、何とも斬新な作品。しかもコラボレイトの相手は、新進気鋭のプログラマーのみ。これで"Rhythm Designer"とは、何とも大胆不敵にしてジャストなタイトルをつけたものだ。

感性の赴くままに作っている分、テーマの発想はパーソナル。曲名を見ても、<The Invitation From Miles>とか<A Memory Of Kenji>などとある。つまり、前者はマイルスのセッションに呼ばれたのに、スケジュールが詰まっていて行けなかったこと、後者は言うまでもなく,亡くなった盟友のギタリスト大村憲司へ捧げられた曲だ。実際の音はかなりブッ飛んでいるものの、実はそこにかなり人間臭い感情が渦巻いている。そこを掴んでいないと、多分このアルバムは理解不能だろう。かくいう自分も、まだサクッと2〜3回聴き流しただけなので、正直なところまだ「?」がいっぱいだったりする。

そもそもポンタさん、以前からリーダー作とか自分中心のプロジェクトというと、かなり難易度の高い作品が多い。そのくせ歌モノでは、大物シンガーたちから「ポンタとはバラードをやりたい」と言われるという。角松しかり、矢沢の永ちゃんしかり。ポンタさんはリズム・パターンとかジャンルは考えない人。この音楽、この楽曲をどう盛り上げるため、オレには何ができるか、そういうアプローチをするそうだ。そこにポンタさんのミュージシャンとしての器の大きさ、売れっ子になった原因がある。テクニックなんて、そのための道具に過ぎないのだよ。