2006年12月30日

■ SMASH !

e349e935.gifあらあらビックリ、人知れずこんなマニアックなファンク・アルバムがCD化されてました。このスマッシュは、デバージの前身として知られるスイッチの中核メンバーによる別働隊。メンバーにはスイッチからボビー・デバージとジョディ・シムス、グレゴリー・ウィリアムスが参加して、トミー・デバージも曲を書いている。元々はホワイト・ヒート〜ホット・アイスというバンドの流れがあって、それがスイッチとスマッシュに分裂していったようだ。うーん、それにしてもスゴいジャケット!



内容的には初期スイッチ好きにはオススメできるが、まぁ、この当時ならではの(79年作)B級っぽさが出ているというか。ジャズ・ファンクっぽいインストもアリで、悪くはないけど、然したる特徴はない。それでも当ブログで敢えて紹介したのは、それなりの意味があるワケで。ちなみにリリース元はドイツのハンブルグにあるBurndsman Records。このアルバムのエグゼクティヴ・プロデューサーだった人が当時からL.A.とハンブルグに拠点を持つ人だったらしく、このマニアックな再発も正規リリースである。実はそれが重要なポイントなのだ。

ご存知のように、最近のソウル/R&B市場は、恐ろしいほどのレア盤・珍盤のCD化が相次いでいる。はっきり言って、これはもう異常。しかもチョッと頭をヒネれば、そうしてリイシューされるネタのほとんどが、鈴木啓史氏の名著『US BLACK MUSIC GUIDE』掲載の激レア盤だったりするのが分かる。だからカナザワは、以前から何か妙だなぁ〜と思っていた。つまり、これってホントに正規盤なのか? もしかしてブートじゃないのか?という疑問である。日本で人気の音楽ガイド本は、アッという間に海外の中古レコード屋に渡って値段高騰の原因になるが、ソウル系の場合は、オリジナル盤の高騰と同時に、ブートCDやブートのリプロ盤を作る元ネタに利用されるようなのだ。

実は先日、STAR digioの音楽ライター年末放談で久々に林剛クンと顔を合わせ、収録後に酒を飲みながら、その辺りの裏話に華が咲いたワケである。彼は少し前のBMR誌の連載コラムで、そのあたりをチクリと指摘していた。

ご存知の方も多いと思うが、もう既にFunk Recordsというところはブート屋だと判明。今でも某オークションには載ってたりするものの、そこが出したCDは、大手ショップからは大方消えた。だがカナザワも恩恵に預かっているVinyl Masterpieceにも、ちょっとヤバそうなネタがあるそう。ココは12インチのレア盤を集めた話題のコンピが多数あるが、その中には「権利者の方はご一報を!」という注釈つきで収録された曲があるらしい。これって一見良心的だけど、実際は反則。著作権をクリアしてない点ではブートと同じなのだ。そうなると、単体でCD化されているのは大丈夫か?なんて疑いも出てくる。ただVinyl Masterpieceに関してはサイトも実在していて、シッカリ対応できる姿勢はとっているから、まだマトモというか、一応許せる。

だがSoul Brothersとか、いくつかの名が通っているリイシュー・レーベルを別にすると、ほとんど聞いたこともないようなところばかり。しかもその多くがブート屋らしいから要注意だ。典型的なのは、Rene & Angelaの『WALL TO WALL』。カナザワもブログに載せてから気づいたんだけれど、あれって再発番号がオリジナル・アナログ盤のままなのね。そりゃあ、普通ありえんでしょ。
じゃあ、その見分け方は? 最近は手口が巧妙なので決め手はないそうだが、ひとつの目安は、リイシュー・レーベルのアドレスがシッカリ記されているかどうか。サイトもなし、住所もナシ、だから連絡がつかないというのは、十中八九ブートだという。つまりマニアが驚喜していたレア盤リイシューは、大半がブートということになる。あのHandshakeのリイシュー盤も、どうやら例外ではないという噂だからガッカリ。帯・解説つきの国内盤仕様であっても、元がブートならダメ出ししなけりゃならない。あぁ、どうかCD流通業界から姉歯建築士モドキが出ませんように…

面白いのは、以前当ブログで「音が悪い!」と文句を垂れたジェミニは、メンバー主導の正規盤とか。でも、それって何か納得。要するに日本市場をターゲットにしたのではないからアバウトな作りになっている。でも世界一ウルサイ日本のマーケットを狙い撃ちしたブートは、それなりの音と体裁で巧妙に作られるっていう寸法だ。早い話、日本のソウル・マニアは思いっきり騙され、金儲けの道具に利用されているってワケ。こりゃあユーザー・サイドがしっかりしないとマズイんじゃないか。善悪を見極める目と心を持つべきなんじゃないか。自分の知っているコレクターさんの中にも、「アーティスト本人の意思は関係ない。ブツがあるならそれが欲しい!」と豪語する人がいるけれど、やっぱりそれって違うと思う。

林クンと話し合ったのは、まず我々のような立場の人間が、今後キチンと襟を正していかねば!ということ。ソウル系のファンは純粋なのか、その辺に寛容だけれども、もしこれがロック系ネタだったら、とっくに大問題になってるんじゃないのかな。いずれにせよ、ちょっと考えさせられる年末の会話だった。

SMASH!

lightmellow at 23:59 │Comments(0)TrackBack(0)clip!Soul / R&B  | Reisssue

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