5fe34916.jpgうーん、こんな盤、いつの間に出てたの? えっ、国内盤もある? うっそー、こりゃあ宣伝不足もイイところだね。このアルバムは、北欧のトロンボーン奏者/シンガーであるニルス・ラングレンとジョー・サンプルの共演盤。でもこの存在を知って、いろいろ氷解したことも。2年前のクルセイダーズのジャパン・ツアーにニルスが同行し、ウィルトン・フェルダーとの2管でフロントを飾ったのだが、この時はテキサス・ファンクのクルセイダーズと北欧ホーン奏者との繋がりがまったく見えなかった。でも当時のニルスは、ジョーとこうして共演アルバムを作るくらい、深く交流していたのである。

聴いて一番耳に残ったのは、ジョーがやたらと楽しそうにピアノを弾いていること。クルセイダーズやソロでは美しくもシリアスなプレイを聴かせるジョーが、いつもと少し違ってルーツに根ざしたR&Bピアノを披露している。なにせオープニングからしてアラン・トゥーサンの曲だし、その後もオーティス・レディング、ウィリー・ネルソン、レイ・チャールズなどの曲が続く。タイトル曲はデューク・エリントン、異色なところではスティーヴン・スティルス作<Love The One You Wth>なんてところも。これと併行して、ジョー作品も一緒に収録。<Soul Shadows>のリメイクなんて嬉しいセレクトも入っている。ニルスは元々歌えるヒトで、自分のリーダー作ではAORっぽいこともやってたから、こうした曲はお手のモノだ。

とはいえ今回のアルバムは、ジョーの個性を活かしたアメリカン・ルーツィーなカラー。それを北欧出身のニルスが演るというミスマッチ的面白さがある。実はクルセイダーズ公演でもそれを感じたが、彼らはココでもっと深いコトを演ってたワケだ。

ちなみにオーティスの<Dock Of The Bay>は、ギターで参加しているレイ・パーカーJr.とニルスのデュエット。これもレイのニヤケたヴォーカルが板についてます!