88869a51.jpgまだカナザワが ただのガキんちょだった頃、フリートウッド・マックはロンドンでシコシコとホワイト・ブルースを演っていた。その時、天才ギタリストと呼ばれたピーター・グリーンの向こうを張って、ギンギンのスライド・ギターを聴かせていたのが、このジェレミー・スペンサーだった。

その後グリーンがマックを離れ、ようやく前へ出られるようになったと思いきや、怪しい宗教に関わり、教壇に拉致されるという形で突然音楽界を去る。それから7〜8年もまったく音沙汰がなかったのに、79年、突然バンドを率いて復活。おそらくポップに転身した新生マックがバカ当たりしてたモノだから、ジェレミーを担ぎ出した仕掛人がいたのだろう。このアルバムもいきなりディスコ・チューンから始まったりして、かつてのような豪快なスライドを期待していた連中の足下をキレイにすくってくれる。

ようやく持ち直してくるのは、タイトル曲あたりから。それでも当然の如く、ブルースではなくて。大方の予想通り、サウンドは完全にポップな新生マック・スタイルだ。でもコチラは狙いが明確なのと、曲がそこそこ良いので、こういうモノだと割り切ってしまえば充分に楽しめる。中には女性シンガーが歌う曲もあって、思わず笑っちゃうほどマックマックしたナンバーも。ジェレミーのスライドは、カドが取れて丸ーくなったものの、チャンと出てくるべきところでは大フィーチャーされる。そっかー、この人って、意外と柔軟だったのね〜。