2007年03月26日

■ BRUCE ROBERTS

87468b7e.jpg先月【LightMellow's Choice】で紙ジャケ・リイシューしたブルース・ロバーツが、なかなか好調の様子。職人的ソングライターで知名度もそんなに高くないから、スティーヴン・ビショップの『哀愁マンハッタン』あたりより苦戦するのでは?と予想していたが、案外そうでもないみたい。セカンド『COOL FOOL』の許諾が下りないのは、かえすがえすも残念であるが、やっぱりブルースの本質はこのファーストでしょう。カタチにこだわるAORファンがセカンドに向かうのは分かるけどね。



さて今日は、レギュラーのSTAR digioの選曲。春っぽい特集を、と思って、4時間中2時間を、AOR系でストリングスを効果的に使っている曲ばかり集めた。その際にこのCDからも、と考えていたら、友人から「AOR系の音楽ファン・サイトで、アチコチ取り上げられてるよ」とチクリあり。リスナーさんの間では、リマスターされてるのかどうか、気になってる方もいるようで。なので今日は、インディー・レーベルに於ける紙ジャケ再発事情について、少しだけ書いてみたい。ちょっと固い話で恐縮ですが。

まず、かつてのアナログ盤をサード・パーティーのレコード会社が再発するにあたって、最大の問題は諸々の権利を誰が握っているのか?ということ。話はそれで大きく分かれる。

主なケースのひとつは、権利が移動していて、現在はアーティスト自身やプロダクション、マネージャー、あるいは新興レコード会社(日本でのディストリビュートなし)などが所有している場合。このケースでは、日本の再発メーカーは権利者と直接契約を結び、音源のリマスターも、たいがい再発メーカーの裁量によって行なえる。

また最近多いのが、国内のメジャー・レーベルから音源提供を受けるパターン。これは権利的には昔のレコード会社に帰属したままになっているが、そこには再発の意思がなく、特販商品として外部のメーカーに音源を貸し出している。でも実際は、ディスクの製造までを権利側メーカーが行ない、できあがったものを卸して買い取らせるカタチ。再発側はジャケ回りやブックレットを用意して、入荷してきたディスクを挿入して完成、という流れになる。この際マスタリングは権利所有側が行なうのが通常で、再発メーカーの意向は反映されにくい。

で、問題のマスタリング、例えばこのブルース・ロバーツの場合、何処にも「デジタル・リマスター」とは書かれていない。じゃあ昔の、それこそ前回CDが出た91年当時のマスターを再使用なのか? ま、まさかっ!!

結論を急ぐと、厳密には、リマスターは行なわれている。もし当時と同じマスターの再使用だったら、音圧もヴォリュームも当時のままになるはずだ。では、どうして「デジタル・リマスター」と謳わないのか。それは、人為的にEQを掛けてバランスを補正したりしたのではなく、ただ機械的に新しいマスターを作っただけだから。でもそれでも音を通す機械自体が進化したり、設定が今様になっているから、10年前・15年前のCDとは決して同じ音にはならない。

分かりやすいのは、コンピレーション盤である。コンピの場合リマスターと呼ぶことはまずないけれど、実際はいろんな曲を寄せ集めて一本のマスターを作る。当然全曲との音質・音圧・ヴォリュームなどのバランスを取るため、必ず微調整が入っている。だから必然的にリマスターなのだ。

最近の業界的コンセンサスでは、人為的なEQをしたものを「デジタル・リマスター」と呼び、機械的処理で済ませたものは「デジタル・リマスター」とは呼ばない。でも某有名スタジオのマスタリング・エンジニアさん曰く「実はクレジットの有る無しじゃないんですよ。廉価盤を除けば、出し直しする時はかなりの確立でリマスターしてるんです。だから本当は、積極的リマスター,消極的リマスターみたいな形で使い分けるのがイイんですよ」

一時は音圧ブチ込み過ぎの傾向が強く、最新リマスターよりもひとつ前の盤の方がバランスが良い!なんてことも少なくなかった。さすがに最近は落ち着いてきたけれど、メジャーの再発でも「アレ? 音悪くなってない?」なんてことも、ままある(もちろん好みの問題もあるが)。すごく古いCDとの比較ならともかく、最新マスターだからと言って音が向上してるとは限らないんだな。




lightmellow at 23:53 │Comments(0)TrackBack(0)clip!AOR Light Mellow  | Reisssue

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