335c2282.jpgDFKバンドの初CD化の影響か、既に出ていたレス・デューデックのソロ・アルバムの方もココへ来てずいぶん在庫が回転しているという話。そこでクリンク/芽瑠璃堂が、05年にWounded Birdから初CD化されたレスの78年の3rdアルバム『GHOST TOWN PARADE』を国内仕様で発売することになり、いま、そのライナーに着手している。

とはいえこのblogでは、出た当時に喜び勇んで取り上げているので、今回は割愛 (読みたい方はコチラから)。そのかわり、早くから国内盤CDが出ていたソロ・デビュー作『LES DUDEK』をピックアップしてみよう。

このアルバムのポイントは、やはり当時のレスのボス的存在だったボズ・スキャッグスがプロデュースしているということ。この時点で2年ほどボズのバンドにいたというレスだから、当然ボズから吸収したモノは大きく、一作目にしてレスのサウンドが見事に確立している。基本的にはデュアン・オールマンの流れを汲むギタリストだが、サウンド的にはかなり都会的なプロダクションを狙っており、豪快さと洗練が相見えるという、カナザワの大好きなパターン。このデビュー作も、ドラムは全編ジェフ・ポーカロ。反対にベースはチャック・レイニー、デヴィッド・ハンゲイト、ジェラルド・ジョンソン、ジム・ハガートを使い分けている。キーボードはフォスターとペイチの両デヴィッド。サックスはトム・スコットのブロウである。それでいてCD帯には“レイド・バック・ギターの真骨頂”というキャッチが。確かにレイジーなR&Bナンバーもあるけれど、それは箸休めみたいなモノでしょう? このアルバムの聴き所は、グルーヴィーなシティ・ファンクに乗って、レスが思いのままにレス・ポールを弾きまくるトコロだと思う。

こうしたスタイルに至ったのは、やはりボズ人脈の成せる技。76年発表といえば、」まさにあの『SILK DEGREES』の年なワケで、ボズ流のソフィスティケイト・スワンプ・サウンドがココに示されたといえる。レスのソロ作の中では最も16ビートを多様してるのも、ボズ制作ならでは。多少の振幅はあれど、レスのソロ・キャリアの方向性はこのアルバムによって決定づけられたといってイイ。

ちなみに最近リリースされた『SILK DEGREES EXPANDED EDITION』でのライヴ曲は、大方の予想を裏切って、ギターはレスではなくドニー・デイカスだった。この頃はちょうどレスがバンドから独立する頃だからね。なるほど、ドニーのシカゴ加入には大きな伏線があったワケだ。