d647166e.jpg昨日に引き続き、Renajaのプロモーションのため六本木でバイヤーさんに会い、そのままスタジオという流れ。今日は20:00から来週のライヴのリハーサルになったので、書き仕事が溜まっているカナザワは少々早めにスタジオを辞し、夜の首都高を飛ばす。

その時のロンリー・ドライヴのお供がコレ、パリス。ちょっとハードなんだけど、眠気覚ましにはちょうど良いかと。ずっと前に東芝EMIの廉価盤CDがあったのだが、それが廃盤になって以来、何とはナシに探していた一枚。たまに見つけると、若干のプレミアがついてたりして、今イチ手が出なかったのよね。それが先日、ネットのCDショップを覗いてたら、00年に英国で再発されていたのを発見。しかも安いっ! 即、購入しましたさ。

このパリスというのは、元フリートウッド・マックのボブ・ウェルチが75年に立ち上げたロック・トリオで、メンバーはボブと元ジェスロ・タルのグレン・コーニック、元ナッズのトム・ムーニー。このメンツで名前がパリスというと、何のこっちゃ?だが、ボブの狙いは超明確で、後期レッド・ツェッペリンのようなグローバルなハード・ロックを指向している。何せオープニングの<Black Book>からして、ヲイこれ、<Black Dog>ぢゃねぇの?ってな具合(苦笑) ところが次の<Religion>の方がモロ<Black Dog>だったりして(爆)

でも、このコリコリに凝りまくった人工的なハード・ロックは、凄く新しかった。それまでの汗臭いハード・ロックのイメージとは違って、ちょっとブッ飛んだセンスでスタイリッシュなのだ。ルックスも長髪にジーンズ、はだけた胸にキンキラのペンダント、なんて類型的なロッカーとは一線を画し、ファッショナブルな帽子に大きなべっ甲の眼鏡、そして葉巻!?? さすが「パリス」と名乗るだけのコトはあります。

とにかくギターの音がエフェクト・ギンギンで、ある意味クイーンのギター・サウンドに共通する万華鏡のような面白さがある。でも楽曲やアレンジはツェッペリン。ヴォーカルはサスガにプラント張りとはいかないけれど、こちらもいろいろイジリまくって、プラントの声に似た硬質な響きを生んでいる。

日本ではツェッペリン狂の渋谷陽一大先生が大騒ぎし、結構ロック・ファンに浸透したのだけれど、本拠地の米国ではまったくプロモーションされず終い。結局2枚目を出したトコロで活動を停止し、ボブはソロ活動を始めた。そして生まれたのが、<Sentimental Lady>や<Ebony Eyes>の大ヒットというワケ。

ちなみにセカンド『BIG TOWNE 2061』は、ただ今お取り寄せ中。でもそちらは早くもボブがネタ切れになったのか、もはやツェッペリンでもハード・ロックでもなく、バラエティに富んだ近未来的ポップ・ロック・サウンドになっている。おそらくコチラの方がパリスの素の姿。ドラマーは既にハント・セールスに変わっていて、曲を提供したり歌ったりしている。

実はこのハントも、なかなかの曲者。兄弟のトニー・セールスとセットで活動することが多いけれど、彼らは元々、初期トッド・ラングレンをサポートしていた連中だ。前任のトム・ムーニーもナッズ絡みだったから、2代連続でトッド周辺から人材を引っ張ってきたワケ。しかもこのセールズ兄弟、のちにイギー・ポップのバンドに参加し、やがてデヴィッド・ボウイのティン・マシーンでリズム隊となる。

そういや、ボブ・ウェルチとトッド、イギー、ボウイって、ちょっと繋がるイメージありませんか?



※注:Parisはamazonだとメチャ高っ!