1f738bc8.jpg本日はSTAR digio【Music File】の『Light Mellow Radio Edit』収録日。毎年この時期は梅雨にちなんで雨の曲を特集してるような気がするので、今年はもう少し枠を広げて、水モノ全般に絡んだ曲を集めてみた。"Water" "Tear" "Sea" "River"とかね。もちろん"Rain"関連もチョイスしたけど、ありきたりのウェットな曲ではなく、ちょい明るめの曲を選んでいる。プレイ・リストはオンエア後にアップするが、今日は先にひとネタだけ。

それがこのブレット・レイモンドの『FEEL LIKE RIO』。ジェイ・グレイドン『AIRPLAY FOR THE PLANET』に作曲/kydで参加して名を広めた彼が、02年に突如リリースしたソロ作品である。制作したのは今は無きaosis records。今にして思えば、ココが作った外タレのアルバムとしては、屈指の出来だったな。

ブレットは元々日本の縁深い人で、80年代後半は日本で音楽活動を展開し、CMソングなどを多数手掛けていたらしい。その仕事が認められてか、86年に最初のソロ・アルバム『ONLY LOVE』をリリース。日本制作ながらマクサスのジェイ・グルスカにプロデュースを仰ぎ、ルカサーやランドウなどが参加した好盤に仕上がった。これは現在、マニア垂涎の超激レア盤と化しているのだが、元のレーベルがなくなっているため、なかなか再発に至らないでいる。

その後ブレットは帰国してユタ州ソルトレイク郊外に居を構え、日本にいたときと同じようにCMやTV番組関連の音楽制作を続けた。その一方で、いわゆるゴスペル・ミュージックに関わり(ユタ州ですから…)、そちらの筋のソロ・アルバムを数枚リリース。中には普通のコンテンポラリー・ポップスとして楽しめる作品もある。しかしこうしたニュースはまったく日本に届かず、完全に行方不明状態だったのだ、93年にジェイとやるまでは。そしてその後もブレット自身が表舞台に立つことはなく、まさに唐突にこのアルバムが登場した。

タイトル通り、作品の中枢を成すのはブラジル・テイスト。しかも<三月の雨><おいしい水><DINDI><FAVELA>と、7曲中4曲もジョビンの曲を取り上げている。だがこれがクールなボサノヴァ・テイストかというと、決してそんなコトはなく。それどころか、全曲ヴィニー・カリウタ(ds)を呼んで、実に躍動的でアグレッシヴなラテン・ファンキー・グルーヴを生んでいる。そこにブレットのちょっぴりハスキーな声が乗れば、まさにフィール・ライク・ブラジリアンAOR! 彼自身のオリジナル曲も、このスタイルなら全然ジョビンにヒケを取らない。

aosis閉鎖で既にOut Of Printだが、今ならまだ中古でフツーに買えるはず。もし見つけたら、速攻ゲットをオススメします。

なおブレットは、最近こんなんにも参加して歌ってたので、マニアは要チェキ!