2007年07月13日
■ TERRA / 大橋純子
6月下旬に、取材で久々に大橋純子さんに会った。結局それが発展して、またしても宣伝用のフライヤーにコメントを寄せることに。ここ何年か、彼女に関しては新しいアルバムやシングルが出るたびに何か仕事に繋がっているが、ホント、純子さんはもっと高く評価されて然るべきだと思っている。特に前作『trinta』なんて、今のJ-AORとしてはサイコーの作品だったのに…。さて、来週19日にリリースされるニュー・アルバム『Terra』には、3つのキーワードがある。「セイヴ夕張」「初の邦楽カヴァー集」「アコースティック・サウンド」だ。タイトルの『terra」は、ラテン語で大地のこと。
最初の「セイヴ夕張」というのは、地方自治体として初の経済破綻を喫し、財政再建団体になった北海道夕張市を指す。実は彼女、高校までをこの夕張市で過ごしているのだ。一般的にはメロンの産地として知られるが、あの名画『幸せの黄色いハンカチ』の舞台でも(ちなみにあの映画、ドーンのヒット<幸せも黄色いリボン>と深い関係があるのはご存知ですか?) 何でも本作の彼女の歌唱印税は、すべて夕張市に寄付されるという。
次の邦楽カヴァー集というのは、35年のキャリアにしてはチョッと意外。少し前に山口百恵ちゃんのトリビュート企画に参加したのが、これまでで唯一の邦楽カヴァーのレコーディングだそうだ。しかも今回は「セイヴ夕張」にちなんで、北海道出身のアーティストの楽曲のみにこだわっている。だいたい北海道というと、北島サブちゃんに細川たかし、なんて演歌系ばかり浮かんでくるが、松山千春を筆頭に、いわゆるポップス系の人も少なくない。このアルバムでも千春、中島みゆき、安全地帯、ドリカムが各2曲に、グレイ、YUKIという比較的新しい曲をピックアップ。そこにセルフ・カヴァーで<シルエット・ロマンス>を追加した。実は他にも録った曲があるが、使用許可の問題でお蔵入りしたのだとか。ムムッ、残念。
で、それをアコースティック・アレンジでやるワケだ。でもココまで読んで「夕張チャリティーはともかく、アコースティック・カヴァー集なんて、今ドキ掃いて捨てるほどあるよなぁ〜」と思ったことだろう。ノラ・ジョーンズ風のジャズ・アレンジとか、ボサノヴァ風とか。かくいう自分も、資料に目を通しただけでは、同じように思っていたのだ、実は。
ところが実際に聴くと、かなり大きく予想を裏切られる。1曲目<時代>をワン・コーラス聴いただけで、コイツはキテるかも!と。もちろん純子さん自身はいつもの安定感。30年以上キーが変わらないという驚異の喉は健在だ。じゃあ何が違うのか? 誰もが知ってる名曲たちを、どう輝かせるか。その解釈、アレンジ、表現に、相当なアイディアと労力が注がれているのである。
従来のファンなら分かるが、今回の参加メンバーのほとんどは、初顔合わせの人ばかり。それは、名曲をどう料理するかを熟考した末のこと。つまり、やっと辿り着いた個々のアレンジに対し、それに相応しいその筋のオーソリティーを集めた結果だと言う。例えば<恋の予感>のゆるーいハーフタム・シャッフルを叩き出すのは、この人しかしないでしょ!の沼澤尚。フラメンコ風に仕上げられた<地上の星>は、スパニッシュ・ギターの名手:伊藤芳輝とアコギのベテラン宮野弘紀をキャスティング、という具合。しかも人づてに紹介で集まった方が多く、まるで人の輪が広かって行くようだったとか。オマケに何故か北海道出身者が多かったというのも、ある種のマジックが働いていたと言える。
ちなみに<時代>と<大空と大地の中で>のアレンジは西脇辰弥。彼だけは大橋サイドの構想に乗らず、自分のアイディアを持って来たのだとか。でもコレがマジで素晴らしい。おそらく耳の肥えたAORファンほど、悶絶してしまうはず。ハイハイットの刻みひとつひとつのニュアンスの違いをプログラミングで再現するなど、さり気なくメチャメチャ凝っています。aosisから出てた2枚のソロも良かったが、この人の動向は絶対注目すべきだと思う。
そして肝心の純子さん。「やっぱ35年も生き抜いて来ただけあるな」と感心したのは、これだけ企画性の高いアルバムでも一切それに寄りかからず、むしろオリジナル・アルバム以上に情熱を傾けて作ったこと。「だってチカラのある名曲ばかりだし、中途半端なことやったら失礼でしょ」なんて。そして何より、「企画アルバムであっても、大橋純子の作品として残りますから」と。そのくせ、「短時間で作ったし、こんなに良い作品になるとは自分でも思ってなかった。これはミュージシャンやスタッフのお陰」と謙遜する。
イヤイヤ、たとえここに何らかのマジックが作用していたとしても、それを呼び込んだのは、純子さんの歌に賭けるひたむきさからですって!
最初の「セイヴ夕張」というのは、地方自治体として初の経済破綻を喫し、財政再建団体になった北海道夕張市を指す。実は彼女、高校までをこの夕張市で過ごしているのだ。一般的にはメロンの産地として知られるが、あの名画『幸せの黄色いハンカチ』の舞台でも(ちなみにあの映画、ドーンのヒット<幸せも黄色いリボン>と深い関係があるのはご存知ですか?) 何でも本作の彼女の歌唱印税は、すべて夕張市に寄付されるという。
次の邦楽カヴァー集というのは、35年のキャリアにしてはチョッと意外。少し前に山口百恵ちゃんのトリビュート企画に参加したのが、これまでで唯一の邦楽カヴァーのレコーディングだそうだ。しかも今回は「セイヴ夕張」にちなんで、北海道出身のアーティストの楽曲のみにこだわっている。だいたい北海道というと、北島サブちゃんに細川たかし、なんて演歌系ばかり浮かんでくるが、松山千春を筆頭に、いわゆるポップス系の人も少なくない。このアルバムでも千春、中島みゆき、安全地帯、ドリカムが各2曲に、グレイ、YUKIという比較的新しい曲をピックアップ。そこにセルフ・カヴァーで<シルエット・ロマンス>を追加した。実は他にも録った曲があるが、使用許可の問題でお蔵入りしたのだとか。ムムッ、残念。
で、それをアコースティック・アレンジでやるワケだ。でもココまで読んで「夕張チャリティーはともかく、アコースティック・カヴァー集なんて、今ドキ掃いて捨てるほどあるよなぁ〜」と思ったことだろう。ノラ・ジョーンズ風のジャズ・アレンジとか、ボサノヴァ風とか。かくいう自分も、資料に目を通しただけでは、同じように思っていたのだ、実は。
ところが実際に聴くと、かなり大きく予想を裏切られる。1曲目<時代>をワン・コーラス聴いただけで、コイツはキテるかも!と。もちろん純子さん自身はいつもの安定感。30年以上キーが変わらないという驚異の喉は健在だ。じゃあ何が違うのか? 誰もが知ってる名曲たちを、どう輝かせるか。その解釈、アレンジ、表現に、相当なアイディアと労力が注がれているのである。
従来のファンなら分かるが、今回の参加メンバーのほとんどは、初顔合わせの人ばかり。それは、名曲をどう料理するかを熟考した末のこと。つまり、やっと辿り着いた個々のアレンジに対し、それに相応しいその筋のオーソリティーを集めた結果だと言う。例えば<恋の予感>のゆるーいハーフタム・シャッフルを叩き出すのは、この人しかしないでしょ!の沼澤尚。フラメンコ風に仕上げられた<地上の星>は、スパニッシュ・ギターの名手:伊藤芳輝とアコギのベテラン宮野弘紀をキャスティング、という具合。しかも人づてに紹介で集まった方が多く、まるで人の輪が広かって行くようだったとか。オマケに何故か北海道出身者が多かったというのも、ある種のマジックが働いていたと言える。
ちなみに<時代>と<大空と大地の中で>のアレンジは西脇辰弥。彼だけは大橋サイドの構想に乗らず、自分のアイディアを持って来たのだとか。でもコレがマジで素晴らしい。おそらく耳の肥えたAORファンほど、悶絶してしまうはず。ハイハイットの刻みひとつひとつのニュアンスの違いをプログラミングで再現するなど、さり気なくメチャメチャ凝っています。aosisから出てた2枚のソロも良かったが、この人の動向は絶対注目すべきだと思う。
そして肝心の純子さん。「やっぱ35年も生き抜いて来ただけあるな」と感心したのは、これだけ企画性の高いアルバムでも一切それに寄りかからず、むしろオリジナル・アルバム以上に情熱を傾けて作ったこと。「だってチカラのある名曲ばかりだし、中途半端なことやったら失礼でしょ」なんて。そして何より、「企画アルバムであっても、大橋純子の作品として残りますから」と。そのくせ、「短時間で作ったし、こんなに良い作品になるとは自分でも思ってなかった。これはミュージシャンやスタッフのお陰」と謙遜する。
イヤイヤ、たとえここに何らかのマジックが作用していたとしても、それを呼び込んだのは、純子さんの歌に賭けるひたむきさからですって!

