2fe07fda.jpg90年代前半に初CD化された時のモノが、今や結構なプレミア商品だったとか。それももうこの紙ジャケ化で落ち着くだろう。昨日紹介したカーラ・ボノフと一緒に、このリビー・タイタスの知られざる名品もリイシューされた。

カナザワがリビーの名を知ったのは、確かザ・バンドとかウッドストック人脈の流れで、だったと思う。実際彼女はレヴォン・ヘルムとの間に子供を設けていたし、このアルバムもフィル・ラモーン総指揮のもと、ロビー・ロバートソン、ポール・サイモン、カーリー・サイモンらが手を貸していた。そしてその各人の元に、それぞれの一派が集合。ジェームス・テイラー、ハース・マルティネス、ガース・ハドソン、ジャズ・ギタリストのジョー・ベック、パティ・オースティン等など、かなり幅広い人脈を動員した一枚となっている。

でもその内容は、特に大上段に構えたようなトコロもなく、オールド・タイミーなジャズ・フィーリングを湛えた、いかにもウッドストック産らしいヴォーカル・アルバム。ちょっとキャロル・ベイヤー・セイガーのソロ作に似たところがあるけれど、彼女よりはシッカリ歌えているかな。シングル向きの曲がなく、ヒットも出なかったが、慌てずジックリと聴き込んでいきたい内容。その後ドクター・ジョンと浮き名を流し、その共演はセサミ・ストリートの隠れ好盤『IN HARMONY』で聴ける。80年代後半にはドナルド・フェイゲンと深い仲になり、やがて結婚。スティーリー・ダン再結成のキッカケを作ったりもした。

シンガーとしては大成しなかったけれど、カーリーやドクター・ジョンは彼女をテーマにした曲を書いている。意外とそういう“歴史の裏にこの人アリ”というタイプなのかも。