2007年08月30日

■ WILD CHILD / VALERIE CARTER

8a39e1af.jpg一昨日から昨日にかけて、シコシコとSTAR digio【Power Compilation】4時間の選曲をした。その残骸というか、選んだCDがテーブルの上に山積みのまま。これをそのまま放置しておくと、どんどん増殖して、何ヶ月後かには何処に何があるのか、まったく分からない状態となる。そうなると原稿を書いたり、選曲したりする時、欲しいCDを探すのにウン時間…というバカバカしい事態になるので、音源の整理整頓は普段から心がけている。そこでまずテーブルの山をお片づけ。BGMは今回のセレクションにも使ったヴァレリー嬢の『WILD CHILD』で。



このアルバムは言わずと知れたフィメールAORの好盤。特にカナザワは秋の気配を感じると、ヴァレリーの歌声を聴きたくなる。あのアンニュイな雰囲気、どこか悲しげな表情がタマランのだな。77年に出たローウェル・ジョージ絡みのファースト『JUST A STONE'S THROW AWAY(愛はすぐそばに)』も大好きだけれど、AOR的には翌78年産のコチラ。TOTOを中心とするL.A.人脈が大挙参加しているから? もちろんそれもあるけれど、ワタシの場合は<Da Doo Rendezvous>という大好きな曲が入っている故。それに<The Blue Side>のコケティッシュなヴォーカルも素晴らしいよね。昔はバックの演奏ばかりに耳が行ってしまったモノだけど、やっぱり本当の魅力はヴァレリー自身の個性と楽曲の良さ、そしてその絶妙なマッチングにある。料理でいえば、素材の良さ。味付けは中華風でも和風でもイイけれど、ちゃんとした腕で手間をかけてやれば、美味しいモノができるのだ。

そうした意味ではこのアルバム、本当に素材を広く集めて厳選している。<Da Doo Rendezvous>は、後年エリック・クラプトンのサポートで名を上げたアンディ・フェアウェザー・ロウの作品。<The Blue Side>はジェームス・テイラーの元でのヴァレリーの盟友デヴィッド・ラズリーからの提供曲。他にもトム・スノウとか、本作のプロデューサー:ジェイムス・ニュートン・ハワードやレコーディング・メンバーであるスティーヴ・ルカサーとの共作があったり。タイトル曲はデヴィッド・バトゥ作、ユージン・レコード(元チャイ・ライツ)の曲もある。それがデビュー作よりも一段と洗練され、彼女の小悪魔的ヴォーカルで歌われるワケだ。

サウンドの変化は、プロデューサーの交替とそれに伴うサポート・メンバーの変化、というのが定説だけれど、実は更にもうひとつの要因があると思う。それは所属レーベルの違い。同じ米Columbiaなので見落としがちなのだけれど、この『WILD CHILD』からは傘下の新レーベルARCに移っているのだ。このARCは、アース・ウインド&ファイアーと米Columbiaがスタートさせた新レーベル。確か元フィフス・アヴェニュー・バンドのジョン・リンドも深く関わっていて、後にラリー・ジョン・マクナリーなどに関わってくる。アースとリンドの組み合わせは、そう、かの<Boogie Wonderland>の曲作り。リンドとヴァレリーは、もちろんハウディ・ムーンで…と、こんな流れがあるわけだ。あとマネージメントが一緒だったりとか。

このアルバムを出した後、十数年に渡って音楽活動から退いていたヴァレリー嬢。90年代半ばから旧友ジェイムス・テイラーやジャクソン・ブラウンのバックで歌っている。熱いファンがいる日本ではソロ・アルバムも出たけれど、今ひとつパッとしない。まぁ、新作で新しいファンを!というのは難しいかも知れないが、本作のような過去の名作はチャンと聴いてほしいものよ。



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