aaf13564.jpg昨日で月刊音専誌の入稿を終え、精神的にはひとまず安堵の一日。でも現実的には所用で一日外出していて、ノンビリはできず。しかもこの週末からの約一ヶ月半は、怒濤のライナー執筆期間に突入していく。ハタシテボクハ、コレヲブジニノリキレルノショウカ?

で、今日はこの『マーヴィン・ライヴ』を持ってハンドルを握ることに。…というのも、一昨日の楠木さん、先月末の鳴海さんと、立て続けにこのアルバムの話題が出てきて、異口同音にその素晴らしさ、衝撃の大きさを語られちゃったワケなのだ。どうもカナザワよりひと世代上のソウル好きにとっては、『WAHT'S GOING ON』『LET'S GET IT ON』『I WANT YOU』という名作群と同等か、あるいはそれ以上に印象的なアルバムだったらしいのだ。

もちろんカナザワも、以前からこのアルバムは聴いている。その時に一番ビックリしたのは、ほとんど狂乱状態にあるオーディンエンスの金切り声。マーヴィンが当時のセックス・シンボルだったことは承知していたが、その加熱ぶりがこのライヴ盤から生々しく伝わってきた。特に有名曲では、そのヴォルテージが上がって凄まじいことこの上ナシ。そうした意味では実況録音の醍醐味を味わえる一枚だったが…。でもそれはやっぱり、このアルバムの本質的な魅力ではない。

そこで鳴海さんや楠木さんのライナーに取り掛かる前に、自分でもう一度このアルバムの正しい位置づけを行なわねば…、という気持ちがあった。そして今更ながら再確認したのは、マーヴィンのヴォーカルの底力。表現力の豊は言うまでもないが、特に地声とファルセットの切り替えの上手さ、ナチュラルな移行にはビックリする。ソウル初心者には「黒人シンガー=ストロング・スタイル」というイメージがあるようで、初めてマーヴィンを聴くと、たいてい繊細なクルーナーに面食らうらしい。それと同じで、どうもサウンド面から入ってしまいがちなカナザワは、スタジオ盤はともかく、ライヴでのマーヴィンの素晴らしさをキチンと把握できてなかったみたい。反省!

…とはいえ、やっぱり演奏も手堅いようで、時折ハっ!としたプレイを披露している。やっぱりキラリと光るのは、デヴィッド・T・ウォーカーのイブシ銀のギター・ワーク。他にもレイ・パーカーJr(g)、ジョー・サンプル(kyd)、エド・グリーン(ds)、ジェームス・ジェマーソン(b)、アーニー・ワッツ(sax)、ジョージ・ボハノン(tb)がバックを固め、かのジーン・ペイジが音楽監督を務めている。うーむ、道理でスゴイわけだ。

ちなみにスゴいといったら、当時のマーヴィンのファッションも。ジーンズにニットの帽子というのは今っぽいが、そこにキラキラのスパンコールが貼ってある。でもこれはステージ映えするだろうから、まだ良い。問題は、まるで宇宙服のような、上げ底のプラットフォーム・ブーツ。しかも色はシルバー。手元にあるCDには当時のステージ写真があるけれど、ど−見たって、足下はキッスですよ! Shout it Loud〜