33f53cb7.jpgきっと王道AORファンには全然ピンと来ないのだろうけど、レア・グルーヴ以降のAOR掘り師の間では、「70年代後半のレオン・ラッセルはヤバイ!」というのが周知の事実。<Song For You>や<Delta Lady>など、いわゆるシェルター・レーベル時代のレオンのイメージで敬遠してると、あとでイタイ目を見るかもよ

…とはいえ、あのダミ声も仙人みたいな銀髪ロン毛も変わりようはなく、まったくもってオシャレではない。だが、甘美なコード進行とゆる〜く揺れるグルーヴ感は、まさにライトメロウ。レオンの70年代=自身のレーベルparadise時代になるが、そこで思い出すのは、あの真っ赤なジャケのゲイリー・オーガン。そうそう、あれもParadise発の逸品だったワケで、ちょうどあの質感が当時のレオンの求める音だったみたい。

それが今、ようやく世界初CD化。いやぁ〜、長らく待った甲斐がありました! 奥様マリーとの2枚、ソロ2枚、どれもアナログは人気盤だ。中には初期の打ち込みやシンセを多用した作品もあるけれど、決してヒューマンな印象は失わず、どこかホンワカした感じがある。サポートにもナイジェル・オルソンやウィリー・ウィークスがいたりして、そのマッチングがあったかなのだ。まさしくプリAORと呼ぶに相応しい作品ばかりである。

特にその中でもオススメのが、この『AMERICANA』。方向性は同じでも、お湯加減がちょうどイイと言うか。バックにもジョー・シャーメイとマイク・メロスというジョー・シャーメイ・バンドの中核に、何故かシカゴのホーン・セクションまで参加。かの<When A Man Loves A Woman>でさえも、洗練度の高いバラードに生まれ変わっている。もし個性的なダミ声がなかったら、これがレオンだとはみんな気づかないかも。メロディ作りの上手さ、スワンプ・シーンの黒幕というだけでなく、こうしたクロスオーヴァー・サウンドにも触手の伸ばしていたのだ、このオクラホマの仙人は。

しっかし、どーでもイイんですけど、このルックスでトイ・プードルは似合いませんな。