f6363741.jpg年明け1月に紙ジャケ・リイシューされるアーバン・ソウル系アイテム3枚のライナーを、アセアセと執筆中。ま、一般的にはフリーソウル・ネタとして知られるトコロだけれど、その中から音楽的にシッカリしたものだけを再抽出していこうということで、シリーズが続けば、いずれ初CD化なども提案したい。ひとまずカナザワが書くことになってるのは、ブレイクウォーター2枚とマイケル・ワイコフの2枚目『LOVE CONQUERS ALL』だ。

フィラデルフィア出身の彼らだが、キモはkydのケイ・ウィリアムス。チェンジやハイ・ファッションをサポートし、やがては活動停止状態だったBBQバンドを立て直す御仁。8人のメンバーに1人だけ白人がいる混成バンドながら、その比率の割には、かなりブリージンな感じでAOR寄り。それは何故?

それはきっと、プロデューサーであるリック・チャートフの色ではないかと。ソウル系のガイド本ではほとんど無視されるチャートフは、後にシンディ・ローパーやフーターズ、ジョン・オズボーンで成功する人。この頃すでにシンディのブレイクを先導したロブ・ハイマンやエリック・バザリアン(彼らが後にフーターズとなる)と懇意にしており、彼らのベイビー・グラウンドなるバンドを手掛けている。このバンドの2代目ベースは、ナイル・ロジャースの弟カーマイン。後にデヴィッド・ボウイやロバート・パーマーに重用される人だ。一方でチャートフは元チェアマン・オン・ザ・ボードのシンガー、ジェネラル・ジョンソンにも関わっている。こうした感性が、きっとケイの音楽性にも影響しているのだろう。生粋のソウル・バンドより、むしろボビー・コールドウェルやボズ・スキャッグス、ジョン・ヴァレンティなど、ブルー・アイド・ソウル系AORに近かったといえる。

実際、<Work It Out>や<No Limit>ばかりが取り沙汰されるけど、78年の時点で英国の白人コンビ:ドミニク・ブガッティ&フランク・マスカー(後のデュークス)の曲<That's Not What We Came Here For>をやっている。彼らはシーナ・イーストンやノーランズ、エア・サプライらに曲を提供して売れっ子になるけど、それはまだ先のことだ。こうした目利きは、やはりチャートフいればこそ、ではないかな。

なお同時発売されるマイケル・ワイコフのセカンド『LOVE CONQUERS ALL』は、ジャネイ<Hey Mr. DJ>のサンプリング・ソース<Looking Up To You>でスポットを浴びたもの。97年になって初CD化されたが間もなく入手困難となり、中古CD市場でもかなり高値を呼んでいたそうだから、コレは嬉しい。あと今年なくなったジョン・ルシアンも3枚出るよ。

ブレイクウォーター(紙ジャケット仕様)
スプラッシュダウン(紙ジャケット仕様)
ラヴ・コンカーズ・オール(紙ジャケット仕様)