59031bce.jpgビデオアーツさんにて、午後イチでケニー・ランキンのインタビュー。5年前と変わらず冗談好きのジェントルマンだったが、神経質なトコロも相変わらず。それでもある質問を投げかけたら、今までずっと明言を避けていた事柄まで率直に語ってくれたので、結構ビックリ。事前に「イヤな質問はパスされる」と聞いてたし、ライナーもすべて本人チェックが入っていたのでね。だからこんなにストレートに答えてくれるとは思わなんだ。話の持って行き方が良かったのか、他の取材でも語っているのか…? ま、実際の内容は、ちょい先だけれど4月売りのストレンジ・デイズ誌をご覧ください。

さて今日は、そのビデオアアーツから昨年暮れに出ていた紙ジャケ・ネタ、ホワイト・エレファントをピックアップ。国内盤は“マイク・マイニエリ&フレンズ”として出されているように、彼らはジャズ・ヴァイヴ奏者のマイク・マイニエリを中心としたセッション・ユニット。しかしその顔ぶれが、ブレッカー兄弟にスティーヴ・ガッド、トニー・レヴィン、デヴィッド・スピノザ、ロニー・キューバー等など超豪華で。まさしく、70年前後にニューヨークで活躍していたジャズ・フュージョン系のミュージシャンたちの巣窟、なのである。

その彼らは、後年のようなエスタブリッシュされたフュージョン・サウンドではなく、相当に実験性の強いジャズ〜ファンク〜ブルー・アイド・ソウル的なミクスチャー・サウンドを奏でていた。一般的に“フュージョンの源流”として捉えられがちだが、実際はヴォーカル・ナンバーも多く、インスト・ファンは面食らったりするかも。そう、あくまで曲次第だけれど、ブレッカー・ブラザーズの前身ドリームスとフルムーンをミックスさせて、更に振幅を大きくさせたような感じか。これがレア・グルーヴ・シーンで持ち上げられた時には、さすがにビックリ。でも改めて聴き直すと、なるほど、そういう斬り口もアリだな、と。

フュージョン・ファンの間ではオリジナル盤は激レアとして有名だったが、実際は壁レコの常連で、ちょいと財布を緩めりゃ入手はそれほど困難ではなかった。10年ほど前にCD化された時には、カカザワもすぐに飛びついたクチ。でもボーナス曲が追加された反面でVol.1とVol.2のバラ売りになったこと、かなり安っぽいジャケの作りは、常々残念に思っていた。それが今回は、更に2曲追加してオリジナル・ディスク+ボーナス・ディスクの形になり、オリジナルのエンボス仕様での紙ジャケ復刻。まさに完全版と呼びたい。コレを聴かずして、フュージョン黎明期を語るべからず。

ちなみにこのアルバム、現在はマイニエリ自身が権利を持っているが、オリジナルは72年にJust Sunshineからリリースされている。ところがJust Sunshine、短い期間に隠れた名盤を続々輩出した一方で、スタッフのワーナーからの1stにもクレジットがあったりして、ちょっと謎が多い。原田和典氏のライナーにもあるように、カレン・ダルトン、ファビュラス・ラインストーンズ、ヴォイシズ・オブ・イースト・ハーレム、ノーマン・フィールズ辺りがアチコチから順次CD化されているが、実はホワイト・エレファントのシンガー、ニック・ホームスも秀逸なソロ作を出していたりする。プロデュースはマイニエリなので、あるルートで来日中の彼に探りを入れてみたが、彼は権利の行方を知らない様子。うーむ、コレって、何とかならんのかなぁ〜?