0824102a.jpgセル・メンおぢさんのニュー・アルバム『ENCANTO(モーニング・イン・リオ)』。ファーギーをフィーチャーした<The Look Of Love>がさんざんFMでオンエアされているし、音専誌・一般誌などでの露出も多いので、今更ここで取り上げて何かモノ言う必要などないと思っていた。でも何度か聴いているうちに、やっぱり書いておこうか、と。

というのもこのアルバム、方向性自体は前作『TIMELESS』を踏襲しているように見せながら、その実セルジオは、まったく反対の視点からこのアルバムを作っていたのではないか、と思えたから。見事セル・メン・ファンの革命的増大に結びつけたウィル・アイ・アムと再度タッグを組み、さらに今回はファーギーまで参加。否応無しにブラック・アイド・ピーズ色が強まったか、と思いきや、むしろ逆にブラジリアン・テイストが濃くなった。前作の火付け役となった<マシュ・ケ・ナダ>と、現在ヒット中の<ルック・オブ・ラヴ>の雰囲気の違い。これがそのままアルバムの色合いの差になっている。

解説に拠れば、今回セルジオは「元の場所へ戻ってみようと思った」という。更に「今回、ウィルを私のルーツであるブラジルに連れて行くことも、とても重要だと感じていた」とも。なるほどね。前回はセルジオの方からウィルに歩み寄り、ヒップホップのベースにブラジルの曲を乗せた。でも今回は、セルジオのフィールドにウィルを招き入れたということか。

とにかく『TIMELESS』は、<マシュ・ケ・ナダ>のインパクトが強力すぎて、セル・メンの吹っ切れ方にブッ飛びっ放しだった。それで一気に針が振り切れてしまったけれど、あとになって落ち着いて聴いてみると、ヒップホップを取り込んだ曲には多少の違和感というか、未消化な部分がチラついていたように思う。でもこの新作ではそれがない。ひと言で言えば「熟れた」という感じだけれど、それは深化というより、発想の転換が原因だったようだ。もしかしたら、セルジオの中にも「チョイとやり過ぎたかな?」という気持ちがあったのかも知れない。それゆえ、ウィルをブラジル音楽に漬け込むことを考えたのではないか。元々セル・メン・ファンだったウィルだから、理解度が深まれば悪い方に転ぶことはない。ハーブ・アルパート&ラニ・ホール夫妻との共演も嬉しいトコロだ。

でもハッキリ言って、Dreams Come Trueとのジョイントは要らん。セリーヌ・ディオンと伊藤由菜とか、時々こうした邦洋アーティストの共演があるのだけれど、どれもレコード会社の商売っ気丸見えで、アーティスト同士のリスペクトや必然性は微塵も感じられない。どうせ他の国へ行ったら、そのパートはその国その国の人気アーティストが歌ってるんだから。しかも英語かと思ったら日本語で、オマケにアルバムの真ん中に突然出てきたから余計ゲンナリ。楽曲の出来自体は悪くないし、吉田美和の歌の上手さはサスガなので、ドリ・カムのアルバムに入れるのは良いだろう。でもセル・メン・ファンには無用の長物。こういう付加価値なら付けなくてもヨロシ!というのが自分の意見だ。これでドリ・カム・ファンが買ったりするのかしらね? まぁ、イイとこ話題作りがせいぜいだろう。気に喰わないのでホントは輸入盤を買おうと思ったら、結構発売が遅かったのよね。

ま、こういう腰の軽さも、セル・メンならではあるかもな〜