2008年03月09日

■ SMILE / 角松敏生 with CHIAKI

207746f9.jpg昨日は書かなかったけれど、実は角松『PLAYER'S PRAYER RETURNS』@市川文化会館へ行ってきた。本当は一週前の横浜2デイズのどちらかに行く予定だったのだが、原稿の締切に追われ、ひとまず断念。代わりに少しだけ時間的余裕のある市川に初めて足を運んだのだ。お陰で駅の反対側にある質素な“市民会館”の方に行ってしまうという、オマヌケな自分でありましたよ それと先ほどTV東京系でオンエアされた『みゅーじん/音遊人』を観て、思ったことをつらつらと…。



いよいよこのツアーも終盤戦というコトで、さすがに今更新しい発見はない。けれどこの時期に、言わば地方都市で角松のステージを観るのは久し振り。地元:大宮で観る時は、大抵初日だからねぇ。なるほど東京に比べると、程よく力の抜けた余裕のステージで、ゆったりと安心して観ていられる。でもこれからラストへ向けて、どんどんテンションは上がって行くのだろうなぁ。

今ツアーでは本編のMCが短いが、その分アンコールでは喋くりまくり。その一部は、『みゅーじん/音遊人』の中でも熱く語られていた。すなわち、今のアーティストは音楽の質にこだわらなくなってしまった、リスナーもそれを聴き分ける耳を持たなくなってしまった、ということ。番組の内容も30分という短い尺の中で、角松の音楽人としてのコダワリを徹底追及していく。こうしたドキュメンタリーは、下手に一曲歌うだけの音楽番組より、はるかに角松に似合っていた。

聴く側はヴァイナルからCDになり、今では配信がポピュラー。作る側もコンピューターを駆使して、それなりに聴ける作品を完成させていく。でもそれだけ。便利になると言うことは、確実に何かを喪失させていくものだ。例えば、今では日常生活に欠かせないコンビニ。でも一方で飽食を加速させ、モノへの感謝の気持ちを忘れさせた。音楽では、多くの聴き手が良い音を知る機会を失い、耳も感性も鈍感になっている。きっと彼らは30センチのウーハーをビンビン弾ませながら、環境の整った部屋で音楽をジックリ聴いたことなどないのだろう。そこで今ドキのガレージ・バンドを鳴らしたら、それが如何に深みのない音楽であることが如実に分かるはずである。

ミュージシャンたちも演奏力をなくした。アイディア一発で売れたりするけど、真の実力がないから一過性で消えていく。あの手この手で第一線に止まりたくても、その手立てを身につけていない。演奏や歌だって、修正も編集も簡単にコンピューターでできるから、練習など不要。その代わりライヴはボロボロ。気づいた時はもう遅い、である。

こうして送り手も作り手もアホになり、金儲けの道具として使われ、音楽はつまらなくなって存在価値を失っていく。でも若い彼らに説教したって無駄だろう。必要なのは、だた本物を知る場、機会を与えてあげること。優れた音楽は優れた耳を育み、一級の耳はミュージシャンに更なる研鑽を促す。PLAYER'S PRAYERとは、そんなメッセージだったのではないか。

昨日のステージで、このツアーのテーマ曲と言っても過言ではない、と紹介された<Smile>。先月発売されたDVDの映像でも、ミュージシャンたちのたくさんの笑顔に触れられた。弛まぬ努力が報われたときの笑顔は、途轍もなく美しい。




lightmellow at 23:50 │Comments(3)TrackBack(0)clip!和モノ・City Pops  | Live Review

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この記事へのコメント

1. Posted by mewmew    2008年03月10日 22:26
みゅうじん見ました。
角松さんがどっちを目指しているのか
よく分かりました。
Kanazawa氏の辛口コメントに
一票投じます。

オリジナリティ...。必要だが簡単には
手に入らないものですよね。
角松さんの変拍子楽曲に
ズギューンとやられてる当方、
また一筋縄ではいかない曲を
待っている今日この頃です。
2. Posted by よしのり    2008年03月11日 23:48
当方は大阪ですが、見ましたよ。「みゅーじん」この番組、いつか佐藤竹善さんを取り上げていた時見ましたが、音楽家の素顔をとらえた良質な番組ですね。角松さんの「こだわり」感がとても如実に現れていました。確かに最近は、音楽の質にこだわって制作しはるアーティストが少なくなったのではないのかなって思います。角松さんが番組でも若手に言っていましたが、自分も昔はあんな曲や、こんな曲みたいにしてみようと思って、曲を作っていたけど、やっぱり全く新しいものをつくらなあかんねやって。強い口調で。オリジナる感は本当に大事ですよね。
3. Posted by kanazawa    2008年03月12日 01:56
ま、オリジナル感というのは、今の角松だから言えるコトでもあるでしょう。
極論すれば、最初は模倣でもパクリでもイイと思うんですよ。
要はどういう姿勢で音楽を作り、そこから何を学んでいくか。でも最近の業界は、アーティストを育てようとしない。使い捨て。一方演る側も、腹が座ってないような気がします。

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