2008年03月10日

■ JEFF PORCARO SESSION WORKS

e27f8d40.jpgこりゃーナイスな企画盤。カナザワのファイヴァリット・ドラマー、故ジェフ・ポーカロのワークス・コンピが発売された。自分も数年前にデヴィッド・フォスターやジェイ・グレイドンのプロデュース集、ジェフやルカサーそれぞれのセッション集など、レーベルを超えたコンピ企画を立てたことがあったが、大きく枠組みを超えて組むにはそれなりに数字を見込めないと無理ということで、結局は企画書作成前の与汰話で終わった。フォスターだけは海外企画で出たけれど、中身は売れ線仕様だったっけね。



ジェフのドラムというのは、1にも2にもグルーヴ。ドラム・ソロをやらないのも、彼がバンド・アンサンブルに於けるグルーヴにこだわっているからだと思う。手数や技術じゃTOTOの後任サイモン・フィリップスに劣るだろうけど、彼には他の誰とも違うワン&オンリーのノリがある。タメが効いてる、とでも言うか。キックのシンコペイション、ハーフ・タイムに代表されるハイハット・ワークの凄さも然ることながら、モタるかどうかの瀬戸際からシャープに切れ込んで来るスネアのタイミング、コレがたまらない。サイモンのジャズに対し、ジェフはソウル。その身に滲み付いたリズム感覚が個性の違いを育んだ。

業界用語では“タイム感”というけれど、これを精密に譜面に起こすには256分音符が必要らしい。スネアのタンという音は、通常四分音符で表現されるから、それが64分割されるワケだ。同じ曲を譜面通り叩いても、ドラマーによってフィーリングが違ってくるのは、ここに差がある。面白いことに、ひとりのドラマーが16ビートを叩くときだって、片手か両手かでニュアンスが変わる。昨日のポストじゃないが、こういうビミョーな表情を叩き分けるには、それなりのスキルとセンスが必要なのだ。だからバラードやスロウが良いドラマーというのは、本当に音楽的である証拠。ジェフの凄さ、真髄も、実はそういうトコロにある。

さて、この手のコンピにつきものである選曲の善し悪しについて。こういう玄人ウケするような企画であるから、どうやったって賛否は分かれる。そうした意味では、ポピュラーな曲を多数集めて、大物たちからファースト・コールを受けるジェフの偉大さをアピールした今回のコンセプトも悪くはない。それに則ればこういうチョイスになるのも、まぁ、納得できる。そもそもソニー音源だけで組んでいるのだから、どうしたって限界はあるのだ。

でも仮にカナザワが選んでいたら、もっとジェフらしいタイコが聴ける曲を選んでいただろうな。テクニックではなく、グルーヴという点で。例えばボズなら、<Low Down>はイイとして、もう一曲は<JoJo>か<Simone>。TOTOなら<Rosanna><Georgy Porgy><Goodbye Elenor>とか。それと個人的主張として、レス・デューデック<Zorro Rides Again>は絶対入れたい。あのトニー・ウィリアムスとのツイン・ドラムは、ジェフのアカンパニストとしての基本スタンスを強く感じさせるものだから。

バーナード・パーディ、ジム・ケルトナー、ジム・ゴードン、ラルフ・ハンフリー、ジョン・ボーナム、etc.etc...。いずれもジェフのドラミングに多大な影響を与えた人たち。ジェフをよく知りたいなら、彼の参加作品をコンプリートするよりも、ジェフが彼らのどんな所に感化されていたのか、それを追求すべきだと思う。きっとジェフも生きていればそれを望むはずだから…。




lightmellow at 23:50 │Comments(2)TrackBack(0)clip!AOR Light Mellow  | New Release

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この記事へのコメント

1. Posted by よしのり    2008年03月12日 00:15
選曲は「中田利樹」氏ですね。レーベルを超えるて、一人物をフィーチャーすることは難しそうですね。でも、とても良質なジェフのコンピレーションだと思います。
 金澤さん、聞かれているかも知れませんが、山下達郎さんのTokyo-FM「サンデー・ソングブック」で、ブレイクウォーターの紙ジャケのライターの方(もちろん金澤さんの名前呼ばれてましたが、)の解説はとても勉強になると褒めてはりましたよぉ。聞いた時は僕も何だか嬉しくなりました^^
2. Posted by kanazawa    2008年03月12日 02:05
そうですね。こういう裏方にスポットを当てた企画盤が出ること自体、スゴイことだと思います。
選曲に関しては、可もなく不可もなく、といったところでしょうか。おそらく百人百様の正解があると思うので。

サン・ソンの件、ありがとうございます。BBSやメールでも情報を戴いております。オンエアは残念ながら聞いてませんでしたが…
これで2度目なので、是非お礼を言いたいトコロですが、一度ご挨拶させて戴いただけで、さすがに達郎氏にはなかなかお会いする機会がありません

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