b37c3ef2.jpg来週に迫ったベン・シドランとの来日公演に合わせて、ベンの諸作と共にジョージー・フェイムの未CD化作品もリイシューが進んだ。今日のチョイスは、唯一アイランドに残された74年作『GEORGIE FAME』と、続編として作られながら諸般の事情でお蔵入りしてしまった幻のアイランド第2作『DAYLIGHT』をカップリングしたこの2枚組を。

フェイムといえば、モッズ人気の高い60年代作品を代表作とするのが大方の一致した意見だろう。<イエ・イエ>という有名曲があるし、ブルー・フレイムスとのライヴなんて本当に粋で。ビッグ・バンドとの共演作はエルヴィス・コステロの愛聴盤ってな話もある。

でもカナザワにとっては、やっぱりミクスチャー度の上がった70年代のアルバム群がシックリ来るようで。特に70年作『SEVENTH SON』は、紙ジャケ化された時に結構聴いた。あれから早一年が過ぎたのねぇ。あの時、何故かアイランドでのワン&オンリー作がラインナップに入らず、「あれ!? 許諾の問題かな」と思ったりしていたが、なるほどこうして未発表アルバムまで発掘できたのだから、結果オーライだろう。しかも単純な2枚組ではなく、正規盤『GEORGIE FAME』は英盤オリジナル・ジャケ、未発表作『DAYLIGHT』は超シンプルな妄想ジャケ(?)という、紙ジャケ2枚の抱き合わせ仕様。サスガにちょいと値は張ってしまうが、最新フォーマットのSHMーCDでもあるし、かなり丁寧な仕事になっている。

さてこの2作のユニークさは、参加ミュージシャンにハッキリ表れている。まずロンドンで再編ブルー・フレイムスを率いての録音。そこにはエルトン・ディーンやハミングバードのギタリスト:バーニー・ホランドの名がある。さらにアンディ・フェアウェザー・ロウやヘンリー・スピネッティ、デイヴ・マタックスなど、英国スワンプの連中とのレコーディングも。またデニー・コーデルのシェルター人脈、すなわちJ.J.ケイルやマーク・ベノ、カール・レイドンやジェイミー・オールデイカーとのオクラホマ州タルサでのセッション。更にブッカー・Tやスティーヴ・クロッパー、ドナルド・ダック・ダンといったザ・MG'ズとのセッションがある。L.A.ではチャック・レイニーやハーヴィー・メイスン、ブルー・ミッチェルらとも相見えた。あらら、ジーン・ディンウィドルはフルムーンの人ではないの!

どちらのアルバムにも楽曲ごとのクレジットはなく、参加者は98年のボックス・セット『THE IN-CROWD』で明らかになったとか。それにしても、この顔ぶれだけでおおよその音が想像できてしまうチョイとビックリのラインナップ。この並びにピンと来た人は、是非聴いてみて欲しい。

でもよく考えると、順繰りにこのメンツのほとんどをバックに従えていったエリック・クラプトンって、実はかなりマニアなのかも…。