2008年04月04日

■ ヘイト船長とラヴ航海士 / 鈴木慶一

056b71e0.jpgライナー書きはひと息ついたものの、一昨日あたりからはディスク・レビューやらライヴ・レビューなどの書き物やCSラジオの選曲が続いている。そんな中、鈴木慶一のソロ・ライヴ@渋谷DUO MUSIC EXCHANGEにお誘いいただいたので、時間を捻出してイソイソと。



『LIGHT MELLOW 和モノ669』を読んでいただいた方なら感づいたと思うけれど、カナザワはムーンライダーズの熱心な聴き手ではない。あの本の選盤の時も、PANAM時代を作品や『火の玉ボーイ』などいろいろ聴き直してみたが、あまりライト・メロウな感じがしないというか、何かピ〜ンと来るモノがなかった。広い意味でのシティ・ポップ、大人のロックには違いないのだけれど、メロウな要素が少ないと言うか。洋モノでいうと、ロキシー・ミュージックをAORに入れないのと同じような感覚かも。盲目的な信奉者が多いグループだけに、中途半端に扱うくらいなら、いっそ外しておいた方が…という政治的判断(?)も入っていたかも知れない。

でも『鈴木白書』から17年ぶりという3枚目のソロは、何故か妙にシックリ来るんだな。メロディは慶一節全開だし、ワケ分からんコラージュやサウンド・エフェクトもたっぷり。世界観の広がりも相当にワイドだ。でもそれが難解ではなく、不思議とスンナリ耳に入ってくる。重層的なのに開放感があって、感覚は鋭いのに音はくぐもった感じ。考え抜かれた遊び感覚。そんなアンビバレンツを、“航海”というコンセプトの中に投げ込んで一括りにしてしまった点に、絶妙のサエを感じる。このあたり、やはりプロデューサーである曽我部恵一とのコンビネーションがバッチリはまった成果だろう。

で、その2人の密着制作だったアルバムを、どうライヴで再現するのか。そんな興味があったのだが、ありゃりゃ、更にライヴならではのグルーヴ感まで加味して、見事なライヴ・ヴァージョンを構築してくれた。ノッケから曽我部ソロ<スカンピン>でスタートして、メンバー登場と共に<Skanpin Again>に入っていくあたり、思わずニヤリとしてしまう。慶一さんは相変わらず歌ヘタだけど、もう誰もそういうの求めてないからね。そこにデーンと構えているだけで、不思議なオーラを発している。もう一方の恵一さんにしても、決してスキルのあるギターじゃないのに、ツボを掴んでいて存在感があって。このコンビの素晴らしさ、エナジー感もさることながら、伊賀航(b)とPすけ(ds)のリズム隊も強力だった。この盤石のボトムがあるから、上モノが遊べるのである。それに鍵盤&コーラスには、我らが高田みち子嬢が上野洋子と共にマーシュマーロウとして。このツアー・サポートをやってるのはノー・チェックだったので、結構ビックリ。ま、存在感は上野洋子の方が勝っていたけど、そこはご愛嬌ってことで…。

アンコールでは<センチメンタル通り>や<塀の上で>も飛び出し、思った以上のデキの良さ。こりゃあムーンライダース、再チェックしなきゃ、だわ。でもマニアックなうえにトンでもなく裾野の広いグループなので、今からハマリたくないんですけど…




lightmellow at 23:50 │Comments(0)TrackBack(0)clip!和モノ・City Pops  | Live Review

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