2008年06月01日

■ NINE LIVES / STEVE WINWOOD

3ac50b64.jpg日本風に言えば、七転び八起き、といったところか。ソロ・デビュー31年目にして通算9作目のニュー・アルバムは、メッチャ渋いのに妙に和んでしまうという摩訶不思議な引力を持った傑作。ファースト・リスニングの時からヤンワリと、しかしグイグイッとツボに来る音で、いとも簡単に持ってかれてしまった。



一般的にウィンウッドの代表作といえば、好曲揃いの『ARC OF DIVER』や時代の音に則った『BACK IN THE HIGHLIFE』になるのだろう。しかしトラフィック時代から彼の魅力に接してきた人は、そこにどうも他所行きの空気を感じてしまうようだ。かくいうカナザワは、年代的にそこら辺から彼の音楽に深入りしていったワケで、どうしてもその頃の音に愛着を持つ。

しかし後期トラフィック、特に『JOHN BARLEYCORN MUST DIE』あたりがフィットしてくると、ウィンウッド・ソロに対する見方も微妙に変化してくる。初めて聴いた時には恐ろしく地味に感じたファースト・ソロが、次第に心地良くなってくるのだ。また個人的に初ウィンウッドとなったブラインド・フェイスのワン&オンリー作も然り。

ちょうど2月末には、マジソン・スクエア・ガーデンでウィンウッドとエリック・クラプトンの共演ライヴが実現したばかり。このアルバムでも、1曲クラプトンのギター・ソロがフィーチャーされている。でもそうした共演のみならず、作品の方向性自体が確かに最近のクラプトンと共振しているような佇まい。ジャケの左下に映る若い頃のフォトを見て、思わずクラプトンの『REPTILE』を思い出したのは自分だけじゃないだろう。

結局この人、天才少年だとか何だとか騒がれていたが、キャラクター的には決して器用な人ではないんだな。しかも案外お気軽なトコロもあったりして、ヴィジョンよりも感性で動くタイプ。前作『ABOUT TIME』から力作が続いているワケだが、そのモチベーションの出所は、今更ながらオルガンに目覚めたことだという。スペンサー・デイヴィス・グループの時代から彼のオルガンには定評があるが、当人にしてみれば、当時はただ必要に駆られて弾いてただけ。でも今は自ら積極的にチョイスしている、というコトだろう。オマケに今回はウィンウッド自身がギターを弾く場面も用意され、まるで原点に返ったかのような趣き。

ウィンウッド入門者には濃ゆいアルバムだけれど、彼らしさという点ではコレが一番かも…。



lightmellow at 23:50 │Comments(2)TrackBack(1)この記事をクリップ!Rock Classic  | New Release

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1. Steve Winwoodと私  [ Mellow Floater.com ]   2008年06月02日 08:26
安心する音がある。そして安心する声がある。 Steve Winwood。彼の存在はいつも我々世代に不思議な安心感を与えてくれる。 初めて彼を知った<W...

この記事へのコメント

1. Posted by obin    2008年06月02日 09:58
5 こんにちわ カナザワさん
ウィンウッドの新作、しみじみと良いですね〜
もう抱きしめてしまいたくなるくらい(笑)

おっしゃる通り キャリアがとても長い人なので
帰属する世代や最初にどのアルバムを聞いたかで
聞き手がウィンウッドに求める像は微妙に異なる
のかもしれませんね
私としてはこの新作の隙間のあるサウンド
オーガニックなグルーヴが一番フィットします

ウィンウッドを聞き続けてきて本当に良かった
そんな気持ちにさせてくれるのが
時間という試練と音楽との理想的な関係なのかも
しれません

新作を聞いて嬉し涙が出て来たという体験も
私にとってひさしぶりのことでした


2. Posted by kanazawa    2008年06月04日 18:04
obinさん、どーもです。
いやいや、ホント、今度のウィンウッドはヨイですね。この人らしいというか。
『BACK IN THE HIGH LIFE』あたりは楽曲史上主義だったのではないか、と思うんですよ。
でも今度のは、ちゃんと60〜70年代の自分を引き受けてる。
そこがステキだと思いますね。

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