3ef58a09.jpgブラジルの名ギタリスト、トニーニョ・オルタの89年作にして通算4作目。プロデュースは同じブラジル人ギタリストで米国在住のリカルド・シルヴェイラだが、実質的にはパット・メセニー・グループ周辺人脈とのコラボレイト作品として、ニューヨークで録られている。

とりわけ目立つのは、スティーヴ・ロドビー(b)、マーク・イーガン(b)、ダニー・ゴットリーブ(ds)、ナナ・ヴァスコンセロス(perc)といった80年代メセニー・チーム。時代的に当然と言やぁ当然だが、さすがにライル・メイズの参加はなく、鍵盤はラッセル・フェランテ、オナージ・アラン・ガムス、それにイリアーニがプレイ。メセニーはタイトル曲で、トニーニョとのアコースティック・デュオを組んでいる。それだけにメセニー・ファンには親しみやすい一枚。…というか、トニーニョとの出会いは、当時のメセニー・サウンドにも少なからず影響を与えたはずだ。

カナザワがブラジル音楽に距離を置いているのは、ある種の防衛本能なのかも知れない。ハマリやすい自分の性格を知っているから、途轍もなく奥深いこの道に、あまり深入りしないよう注意しているのだ。実際このアルバムにしても、従来のジャズ・フュージョンとは世界観がまるで違う。深遠なヴォイシングの広がりは、まるで別世界を見ているみたい。ブラジルに接近してた頃のメセニー・サウンドにしても、従来のスタイルと比べると、奥行き感が大きく異なる。なのでココにどっぷり浸かってしまうと、もう戻って来られないような気がして…

なので、こんな軽やかなブラジリアン・ジャズ・アルバムを、ホンワカと聴き流すのがイイみたい。ほのかな異国情緒は、疲れた心を束の間のイマジネーション・トリップへと誘ってくれます。