97beb63d.jpg遂にこの日がやってきた。完成から14年、当時の所属先だったリプリーズから発売を見送られ、そのまま塩漬けになっていた幻のアルバム『STONE OF SISYPHUS』が、ようやく正式発売されたのである。当初は22枚目だったのが32枚目になってしまったが、まずは素直に出たことを喜びたい。



ただ収録曲は国内外で出ているベスト盤などで小出しにされており、ほとんどは既発表。それでもその曲をちゃんと一枚にまとめ上げ、一気に聴き通してみると、そのアグレッシヴな内容、ハード・エッジなトンガリ具合に改めてビックリさせられる。

一般的な情報では、ヒットが望めそうもないアルバムなのでリプリーズが出し渋った、というのが定説。でもその一方で、少し経ってからメンバーたちも過激なミックスに不満を示したりしている。でも斜から見れば、こうした発言はお蔵入りに対するバンドからのエクスキューズだったのかも。確かにいま改めて聴き直すと、“バラードのシカゴ”というイメージを以てすれば、確かにコレじゃあリリースを躊躇ったリプリーズの姿勢も分からないではない。スロウ・ナンバーだってあるにはあるが、いわゆるスウィートなラヴ・ソングではなく、従来のシカゴのバラードとはかなりニュアンスが違っている。

でも個人的には、デヴィッド・フォスターが敷いた既定路線に飽き飽きしてた頃でもあって…。だからホーンを前面に押し出したパワー全開のロック・アルバムが出来上がったという噂に、メチャ期待していたのだ。メンバーたちも当時はかなり入れ込んで作っていたという話。それが突然オクラになり、モチベーションを削がれた彼らは、『NIGHT AND DAY』みたいな余興的作品でお茶を濁すしかなかったのだと思う。結局それから14年もの間に発売された純オリジナル新作は、06年の『XXX』のみ。カナザワはそこに本作がお蔵入りした反動を見てしまう…。今作ではタイトル曲を書くなどして貢献度の高かったギタリスト:ドウェイン・ベイリーも、発売中止を甘受したバンドに嫌気が差したか、間もなくシカゴを離れてしまった。

でもそれがこうして陽の目を見たワケで。果たして14年前にコレが出ていたら、シカゴの今はどうなっていただろう。クールに見ればシングル・ヒットからは縁遠そうなアルバムではある。でもバンドとしてのシカゴは、もっともっとロックしながら高みに昇っていたのではないか?、というのがカナザワの意見。スターシップやワン・チャンを当てたピーター・ウルフも、元フランク・ザッパというキャリアに相応しく、思い切ったプロダクションを施している。

こりゃあやっぱし、80年以降のシカゴを代表する傑作アルバムだった。