f0fc5348.jpg2本ほどライナーを書かせて戴いたワーナー・ブラザーズ創立50周年記念【Forever Young】スペシャル・リリースの中から、きょうはコレをじっくりと。選曲とかのついでにツマミ聴きすることはままあったが、今回は待望の初デジタル・リマスターですから!

このリッキー・リーのデビュー・アルバムが出たのは、79年のこと。そこからダルで奔放なイメージの<Chuck E's In Love(恋するチャック)>が全米4位をマークし、彼女は一躍スターダムへ駆け上がった。この年のグラミー賞でも4部門にノミネート。実際の受賞は最優秀新人だけだったが、良い方に転げていたら、もしかしてノラ・ジョーンズみたいな状況になっていた可能性もなくはない。それくらいリッキー・リーのデビューは鮮烈だったし、その自然体の姿に目・耳を引かれたものである。

アルバムにしても、ノッケから<Chuck E's In Love>で夢見心地に誘われるワケだが、すぐに<On Saturday Afternoon in 1963>の気品に心洗われ、また<Night Train>で夜の彷徨いへ…。裏ぶれた場末の雰囲気に身を穢しながら、ハートだけはいつも凛としていて決して汚されることがない。その危うさこそ、リッキー・リーの魅力だ。

もちろんそれは、彼女ひとりでは支えきれなかったものだろう。落ちるのはいとも簡単である。助けたのは、プロデューサーであるレニー・ワロンカーとラス・タイトルマン。作り過ぎず、また勝手気侭を許すでもない。その絶妙な手綱さばきが、本作最大のポイントだろう。スティーヴ・ガッドにジェフ・ポーカロ、ウィリー・ウィークス、マイケル・マクドナルド、ラーセン=フェイトンにクラッキンの面々などメンツもスゴいのだが、そんなのどうでも良くなってしまう。ドクター・ジョンとランディ・ニューマンの参加も、タイトルマンだからこそ成せたワザ。ニック・デカロとジョニー・マンデルというストリングス・アレンジャーの使い分け、前述<On Saturday Afternoon in 1963>と<After Hours>を一発録りにしたあたり、その真骨頂と言えそうだ。

<Company>、涙チョチョ切れのこの名曲は、カナザワ生涯のトップ10バラードに入るかも。