7dbdb7bd.jpgニック・デカロ(92年没)がビクターに遺した3〜4作目のソロ・アルバムが紙ジャケでリイシューされている。そのうち、90年にリリースされた3作目『LOVE STORM』は、なんと山下達郎の逆カヴァー集だった。

これまでにも何度か書いているように、カナザワは基本的に逆カヴァー嫌い。それは中身がどうこういう以前の問題で、カヴァーする根本的な動機、リスペクト精神に乏しいモノがほとんどだからだ。達郎さん、ユーミン、サザン…等など、結局は元ネタのアーティスト・パワーに頼りっきりで、ほとんどオンブにダッコ、である。演る方の外タレも、そこそこ実力があってソツなく歌ってくれりゃあベスト、ヘタに個性を主張されちゃあ困るということで、AOR系やブラコン系のシンガーが多く起用されたりする。そうした安易な逆カヴァーと正反対に生まれたのが、このニック・デカロの山下達郎ソングブックだ。

発送の根本はA.S.A.P.のユーミン・カヴァー集に対抗して、だったそうだから、正直、あまりホメられたものではない。しかし素材に達郎さんの作品を選んだ時点で、中途半端なモノでは許されなくなった。そのベスト・チョイスが、達郎さん自身がファンであるというニック・デカロに歌わせるコトだったという。本来デカロは裏方のヒトだからヴォーカル・スキルはナニなのだが、コーラスの多用や雰囲気たっぷりの味わい深さでカバー。そして互いのリスペクト精神が潤滑油となって、こんなに豊潤なアルバムが出来上がった。達郎さんはデカロ向きの曲を選んだり、未発表曲まで準備したとか。彼にとっても、デカロが自分の曲を歌ってくれるのは、大変名誉だったのだろう。そういうトコロを粋に感じる人なのだ、達郎さんは。

達郎さんの曲の良さは言わずもがな、なんだけれど、その中で特にオススメしたいのが、デカロが達郎さんに捧げて書いたオリジナル・チューン<Great Communicator>。実は昨日選曲した7月のSTAR digioの【Power Compilation】にも、これを使わせていただいた。

バックにはデヴィッド・T・ウォーカーやニール・ラーセンらも参加。英訳詞は達郎さんとしばしば共作しているアラン・オデイ。そういや、彼の『APPETIZERS』は、いつになったらCD化されるのかしらね。