d9d7af90.jpg連日、猛暑が続いている日本列島。こういう時は仕事なんてうっちゃって、ビール片手にAOR! な〜んて類型的なシチュエーションも悪かぁないが、最近はどうもAOR聴くとお仕事モードになっちゃって、今イチ寛げない。そこで取りい出したるは、今は亡きレゲエの教祖、ボブ・マーリーである。

それにしても、レゲエっていつからあんなに腑抜けになったのだろうか。いわゆる“ラヴァーズ・ロック”と呼ばれるヤツ。ポップスの名曲やスタンダードをレゲエのビートで、というコンセプト自体は悪くない。だがイメージが完全にトロピカル・リゾート仕様で、心地良い反面、まるで実体がないというか生活感がないというか…。

そもそもレゲエは、初期ロンドン・パンクと同様、戦う音楽だったはずだ。だからこそマーリーは狙撃され、手足を負傷したのである。それなのに、今のラヴァーズ・ロックといったら、もう…。

「何言ってるの? AORだって似たようなモノでしょ?」
うーん、ごもっとも。でもAORは最初から純音楽的な成り立ちを持ち、ポリティカルなメッセージを発することはついぞ無かった。ジャンル・ミックスは、イコール人種の融合を意味していたが、それを声高に訴えることはなく、あくまで音楽性で勝負したのである。

しかし初期のレゲエは、いつも強い主張を内包していた。確かにボブもラヴ・ソングを書いたが、それはジョン・レノンと同じように、激しいエナジーと平和への願いが表裏一体になった結果だと思う。今ドキのラヴァーズ・ロックにように、ただ甘いだけのイージー・リスニングやムード洋楽ではなかったはずなのだ。

そんなレゲエの真実が、このマーリーによる一世一代の傑作に詰まっている。77年のロンドン。このアルバムが録音された地は、ひたすらに熱かった。