e263baab.jpgうーん、こういうのが人知れず発売されているから、やっぱりCDショップ回りは止められない。ちゃんと情報が流れているブツは、いくらでもネットで買うことができる。が、コレなんて店のディスプレイで初めて知った次第。取材〜打ち合わせのあと、時間は限られていたのだけれど、軽く覗いてみて良かったぁ〜。

…というわけで、オーストラリアの再発レーベル Ravenから登場したリタ・クーリッジ、77・78年盤の2in1。日本でもはるか昔にCD化されているが、今となっては激レア盤と化しており、某オークションでは時々法外な値段で出品される。ところがアナログでは二束三文。ま、カナザワもアナログを持っているだけで、CDは伊尼までベスト盤で自分を納得させていたのだけれど。

カナザワ世代にとってリタ・クーリッジというのは、MORのオバハン・シンガーのイメージ。ボズ・スキャッグス<We're All Alone>とかメリサ・マンチェスター<Don't Cry Out Loud>をサラリと歌い、何故か大ヒットさせてしまう。ロック大好きだった中高生の頃のカナザワにとっては、一番目のカタキにしてしまうタイプのヒトだった。

でもいろいろ知識がついてくると、意外とアメリカン・ロック・シーンの重要な場面に絡んでいた女性だと判明。スワンプ系に詳しい人なら重々承知だろうけど、レオン・ラッセル周辺ではアイドルのような存在だったらしく、エリック・クラプトンの初期ソロにも関わっている。そして何より、かの名ドラマー:ジム・ゴードンの彼女だった時期があり、ゴードンと共に、クラプトン一世一代の名曲<Layla>の後半を書いた張本人と言われているのだ。

そんなリタの全盛期の作品をカップリングしたこれ。前者は<We're All Alone>入りだが、洗練度は今ひとつ。しかし後者になると、<Slow Dancer>やトム・スノウ作の<You>が収録されている他、タイトル曲はデヴィッド・ラズリーとアリー・ウィリスの共作だったり。ブッカー・T・ジョーンズのプロデュースの元、ジェイ・グレイドンやマイク・ベアードがほとんどの曲でプレイしている。1曲だけ、コリー・ウェルズとラリー・リーがコーラスつける場面もアリ。ま、このCDはクレジットが完全にオミットされちゃってるので、アナログで確認しているのだが…。

この頃から数年間のリタは、意外とAORに接近していて、アンドリュー・ゴールドがプロデュースしたアルバムなどもある。ま、現在はすっかりジャズの人ですが。