80407124.jpg仕事はかなり立て込んでいるが、ちょっとは息抜きやストレス発散も必要。ましてこの週末は、ディスク・ユニオンの催事がオラが街にやってきてる。そこでアラン君と連れ立って、そそくさとエサ漁りに。1時間半くらいウロウロし、結局そう珍しいタマはなかったが(2日目だし…)、以前から買うのをグッと堪えていたボブ・ディラン紙ジャケが適価でドサッと売りに出ていて、思わず数枚をゲット。あ〜あ、これでまた果てなき道が始まるなぁ〜 こういう大物の場合、一旦シリーズに手を付けてしまうと全部揃うまで止まらなくなるのが、どうもカナザワの性らしいんだな…



そんなワケで、本日は大ベテランの復活ジョイント作を。片やMG'Sのギタリストとしてオーティス・レディングやブッカー・T・ジョーンズを支えたスティーヴ・クロッパー。片やラスカルズのシンガーとしてブルー・アイド・ソウルという新しいジャンルを産み出したフェリックス・キャヴァリエ。しかもこの豪華な顔合わせが、創設50周年を迎えて再び動き出した新生スタックスで実現した。“最高のソウル・サミット”という帯キャッチには、些かの偽りも誇張もない。

70年代に出たキャヴァリエの3枚のソロ・アルバムは、一般的にAOR的な系譜で語られる機会が多い。けれど80年代に入ってからはほとんど隠遁生活に甘んじ、94年にポツリと『DREAMS IN MOTION』を出したに止まっている。今作はそれ以来14年ぶり。逆に言えば、80年代のAOR全盛期は、彼にとって決してやりやすい時代ではなかったと思うのだ。キャヴァリエはたまたま白人だったが、彼のソウル・スピリッツはむしろ遺伝子が純粋培養されたようなもの。スタジオで譜面を元に構築されていくAORとは、音の成り立ちが根本的に違っていたと思う。

それがクロッパーとの邂逅で一気に解放。完全無欠のルーツ回帰が行なわれた。聞くところに拠れば、2人が一緒にプレイしたのは今回が初めてではないとのこと。しかしながら彼らの溌剌とした共演ぶりは、聴くほどに清々しく、音楽の原点を再認識させてくれる。そう、音楽とは何より互いの心の交歓、感情の通い合いなのだ。そこを蔑ろにして金儲けに走るから、ワケの分からん状況が生まれるのである。

キャヴァリエもクロッパーも、もう60代後半。四捨五入すれば70歳だ。なのにこんなにも若々しいのは、どういうワケだ キャヴァリエの声なんて、本当に若い頃のような張りがある。これを聴いてると、最近の20代の方がよっぽどジジババ臭く感じちゃうよ。