a0d8b362.jpgゴールデン・ウィーク明け一番に入稿しなくちゃならないのは、TOTOのこのライヴ映像の解説。実は03年の初リリース時にも書かせてもらっているが、このたびブルーレイでの再発売が決まり、リライトと相成った。

ただし今はガイド本に取り掛かっている関係上、最初は前回のにちょっと手を加える程度のつもりだった。が、彼らも解散してしまったし、もう5年以上前に書いたモノなので、ジックリ読み直し、結局ゼロから書くことを決断。で、始める前に、ひとまずもう一回通して観ておこうと。

そこで改めて思ったのは、ジェフ・ポーカロ没後のライヴでは、この時のツアーが最もハイ・クオリティだったんじゃないかな?と。もちろん『FALLING IN BETWEEN』ツアーも強力だったが、やっぱりデヴィッド・ペイチとマイク・ポーカロは不在なワケで(いつもと違う面白さはあるのだが…)…。後期TOTOというのは、音楽的な主導権はルークが握っていたとしても、ペイチはやっぱり精神的支柱としての存在感があったし、マイクとルークは義兄弟的な絆で結ばれていたと思う。今回見直したところ、ルークがマイクをバンド・リーダーと紹介する場面も発見したし。

つまりこの時期のTOTOは、象徴としてのペイチ、音楽面でのルーク、運営面でのマイクという挙党体制だったのだろう。オリジナル・メンバーでも出戻り&雇われの身であるボビー・キンボールとは、根本的に重要度が違うのだ。その結束の強さ、ハイスクール・バンド時代から続く強い仲間意識が、このツアーをマジカルなものにした。その体制が崩れたのだから、残ったルークがTOTO解散を決断したのも不思議ではない。…というより、金看板にしがみつかなかったルークに、本当のミュージシャンシップを見せられた気がした。

一部ファンに不評だった長尺メドレーだが、このスピーディーかつスリリングな展開は、このツアーならでは。どうしてもジェフ存命期にコダワってしまうカナザワでも、この時期のパフォーマンスのスゴさには溜め息が出てしまふ…