ad005453.jpg大ベテランのジャズ・シンガーであるエスター・フィリップスが、72年に出したKUDUでの第2作、輸入盤で初CD化。スタイルが固まってしまった80'sのフュージョンではなく、様々な試行錯誤を繰り返しながら熱く探究心を燃やしていた70'sのクロスオーヴァーが好き、というカナザワにとって、KUDUの作品はまさに宝石だ。

バックを固めるのは、コーネル・デュプリー、エリック・ゲイル、リチャード・ティー、ゴードン・エドワーズというスタッフ組に、ロン・カーター、バーナード・パーディ、ビリー・コブハム、ラルフ・マクドナルドにメイシオ・パーカーといった辺り。CTI/KUDUのレーベル・メイト、ジョージ・ベンソンやハンク・クロフォードも参加している。

このキラ星の如きメンバーで、ビル・ウィザース<Use me>を筆頭に、グラディス・ナイト&ザ・ピップス、ジョニー・ナッシュ、エディ・フロイドなどをセレクト。タイトル曲はもちろんギルバート・オサリヴァンの有名曲である。ソウル・チューンに少しポップスを混ぜて、ジャズのフィーリングで歌う、まさしくニュー・ソウルの時代ならではの感覚。ベンソンとゲイルのギターがセクシーに絡み合い、エスターのブルージーなヴォーカルを盛り上げる<You And Me Together Forever>は、本作の白眉。ドン・セベスキーの弦アレンジも素晴らしい仕事をしている。

このドスの効いたルックスには、思わず出した手を引っ込めてしまいそうになる。でもむかしエスターのアナログ盤を中古で買ったら、付録についてた彼女のでかいポスターがまだ入っていて、思わずノケゾったことが。やっぱし使い道はないよなぁ…