6ce4acfd.jpgロイ・エアーズの全盛期を支えたバック・バンドのユビクティによる、ワン&オンリーのアルバムが初CD化された。近年、国内外で着々とロイのオリジナル作品の銀盤化が進んでいるので、これはナイスなタイミングである。

コレが出た78年といえば、ディスコ旋風の襲来によって、ジャズ・ファンクのミュージシャンがどんどんファンキー路線に軌道修正してきた頃。ロイももちろん例外ではなかったが、ロイの場合はソロ活動とは別にプロデュース業にもチャレンジ。これがRAMPのデビューや自分のレーベル設立へと発展していった。

ジャケを観ての通り、この作品の中身は完全なダンス路線。ロイのソロでは踏み込めなかった部分にもズバッと分け入り、ジャズ色を極力排して作ったようだ。もちろんプロデュースはロイで、ジャケにもハッキリ“Roy Ayers presents”と記してある。それでも根っからのファンク・バンドに比べたら、はるかに洗練されていてフュージョン・ライク。アレンジ面も隠れたトコロにヒネリが効いている。

バック・バンドということでメンバーは流動的だったユビクティだが、ここではリッキー・ロウソンとジミー・ハスリップという後のイエロージャケッツ組に、コイノニアの創設メンバーとなるフスト・アルマリオ(sax)、メイズを経て現在は日本在住のフィリップ・ウー(kyd)と、相当な実力派が揃っていた。ただリード・ヴォーカルに少し華がないか…。シンガーとしてのスキルには何の問題ないけど、フロントを張るだけのスター性に乏しい感があるのだ。まぁ、そこは所詮バック・バンド。ロイも本気で彼らの売り出しを考えてたわけじゃなく、プロデューサーとしての自分に箔を付ける意味合いが大きかったのでは? でもロイのファンだけでなく、この時代の音が好きな方なら、充分楽しんでもらえるはず。